焦ってばかりだった心に、救いの手が差し伸べられたような気持ちになる。
彼女を始め、クラスメイトの大半は、もうどちらにするか決まっている様子で、私だけが取り残されている気がしていた。


そのせいで、焦燥感でいっぱいだった。
だけど、クラスが違うとはいえ、同学年にまだ進路どころか理系か文系かも決まっていない子がいると知って、安堵感が芽生えた。


(こんなことで安心してる場合じゃないってわかってるけど……)


頭で考えているのとは裏腹に、不安と焦りでいっぱいだった心に少しばかりの余裕ができる。


「よし! こういう時は甘いものだ!」

「え?」

「バイト前になんか食べに行こ!」

「また?」

「いいじゃん! アイスでもクレープでも、フラペチーノでもいいよ!」

「私、ちょっと太ったから甘いものは……」

「美波はもともと細すぎただけ! まだ標準体重になったくらいじゃないの?」


話したことがない体重をずばり当てられて、ドキッとする。


「なんでわかるの……」

「勘? インフルエンサーの投稿とか見まくってるし」

「それでもすごいんだけど」

「まぁね~」


明るく笑った真菜が、「ほら行こ!」と促してくる。
少しだけ悩んだけれど、フラペチーノなら……と承諾した。