夜の街を歩き出した私たちは、自然と手を繋いでいた。


まだ少しだけぎこちないけれど、こんな風にすることも当たり前になりつつある。
それがなんだかくすぐったくて、それ以上に嬉しくて。弾む鼓動を感じながら、ふと隣を見た。


街の灯りが差す金髪は、いつも以上に光っている。
キラキラとまばゆくて、見慣れた色なのに普段よりも綺麗だった。


「なに?」

「先輩の髪、すごく光ってるなって」

「ははっ、明るくしすぎてるしな。でも、これも夏休みが終わるまでかな」

「そうなの?」

「受験生だし、受験が終わるまでは黒に戻す」

「そっか」


なんだか、ほんの少しだけ寂しかった。
彼の髪の色は、出会った時からずっと好きだったから。


「なに? ちょっと残念そうじゃない?」

「うん、ちょっとね」

「お、素直だな。じゃあ、受験が終わったら、また金髪にしようかな」


黒髪の頃の輝先輩は、いつもグラウンドを走っていた。
その姿を気にしたことはあまりなかったけれど、ぼんやりと思い出せる。
ただ、私の中にいる彼は、ひまわりや太陽のような色の髪をした姿なのだ。