「それはごめん。でも、これ以上ただの友達のままでいるのは嫌だったんだ。それに、美波のことばかり考えて、最近は勉強に身が入らなくなってるっていうか……」

「え?」

「あ、いや! これは俺の問題だな! 別に美波のせいじゃないから!」

(そんなに私のことを考えてくれてるんだ……)


そう思った瞬間、胸の奥から突き上げてきたのは喜びだった。


どんなことを考えているのか。
どれくらい考えているのか。
全部聞かせてほしい、なんて思ってしまう。


輝先輩がそんなに想ってくれていることが嬉しい。
彼の気持ちをもっと聞きたい。


わがままなほどの欲が出たことに気づいた時。

(あ、そっか……。そうだったんだ……)

ふと、たどりついてしまった。


数分前の戸惑いの意味に、そしてドキドキの正体に。


振る舞い方がわからなかったことも、『友達』や『親友』という言葉や『男女の友情は信じない』と言われてムカついたことも。
私の心が理解できた途端、すべてのつじつまが合うことに気づいたんだ。