『友達以上恋人未満』なんてよく言うけれど、つまり輝先輩はそう言いたいんだろうか。
ドキッと鼓動が跳ね上がったのがわかって、彼の顔を見られなくなった。


「親友って感じ? でも俺、男女の友情ってあんまり信じてないんだよな」


ところが、投げられたのは想像とは違う言葉だった。


「……なにそれ。じゃあ、ただの友達じゃん。むしろ、男女の友情を信じないなら、友達ですらないじゃん」


勝手にドキドキしただけかもしれないけれど、私の緊張を返してほしい。
思わせぶりなことを言われた気がして、なんだかムッとしてしまった。


(あれ? なんでムカつくんだろ?)


お互いの傷を理解し合える友達は、今の私にとって必要な存在に違いない。
輝先輩には何度も助けてもらったし、彼がいなければ夏休みは憂鬱なだけだった可能性すらある。


そう思っているのに、心のどこかで輝先輩から『友達』や『親友』だと言われたことにモヤモヤする私がいた。