由椰が寝かされていたのは、畳の敷布の上だった。ひさしぶりに目にする部屋の灯りが眩しい。目を細めながら由椰が体を起こすと、男たちの会話がピタリと止んだ。
見知らぬ場所で、三人の男たちからジッと凝視され、由椰は白い着物の袖をぎゅっと握った。
花嫁装束の由椰を見下ろす男たちは、それぞれに整った顔立ちをしており、由椰がかつて暮らしていた村の人たちには見られなかったような珍しい眼の色をしている。なかでも、真ん中に立つ黒髪の男の瞳は輝く金色で、三人の中でもとりわけ美しかった。
金眼の男の背中には黒い翼が生えており、見た目は人に近いが、彼が人ならず者だということがわかる。
その両脇には、栗色の髪に琥珀色の瞳の男と、黒髪に紫の瞳の男が従者のように控えている。紫の瞳の男の背には、金眼の男と同様に黒い翼があった。
(随分と長い間待たされたような気がするけれど、ようやく私が勤めを果たせるときがきたのでしょうか……)
ぼんやりとそう思いながら由椰が頭を垂れようとすると、栗色の髪の男が喜びに目を輝かせた。
「その瞳の色、やはり伊世様……」
栗毛の男の言葉に、由椰はドキリとして、慌てて自身の右側の目を手で覆う。
初めて会う人間は、まずだいたい、由椰の瞳の色に驚く。由椰の瞳は左右で色が異なっていて、左側は異国人だったという父譲りの青色、右側は獣の目のような金色だ。