「私が作った料理も、供物として祠に捧げれば、少しは喜んでいただけるでしょうか」

 由椰が美しい金の眼をした神様の顔を思い浮かべながらつぶやくと、

「よそ者が、余計なことをしないほうがいい」

 風夜がすぐさま反応した。

 風夜の冷たい言葉が、チクリと由椰の胸を刺す。

「由椰様によそ者なんて言うな」
「そうですよ、兄様。由椰様は烏月様の大切なお客様なんですから」

 泰吉と風音が、きゅっと眦を上げて風夜を睨む。

「由椰様が一生懸命作った料理です。とても美味しいですし、供物として捧げれば烏月様もきっと喜ばれますよ」
「適当なことは言わないほうがいいぞ、風音」
「兄様っ!」

 泰吉と風音は由椰を庇ってくれたが、風夜の口にした「よそ者」という言葉が由椰の心の中に深く残った。