ドロリと、急に足のほうから身体が重たくなって、冷たい水底へと引き戻されるような感覚がした。
(なに……?)
由椰の腕に、足に、身体に、冷たい鎖のようなものがまとわりつく。
『あなたの居るべき場所はそこではありません……』
由椰の耳に、高く澄んだ不思議な声が届く。
ハッとして目を開けると、由椰は初めと同じように小さな泉の中で座っていた。
目の前には、眉根を寄せたしかめっ面の風夜と困惑顔の風音がいる。
「おかしい。なぜ、消えない」
泉の中からぼんやりと見上げる由椰に、風夜が忌々しそうに舌打ちをした。