烏月とどんな顔で会えばいいかと気に病んでいた由椰だったが、死の恐怖を感じたあとには、そんなことも気にならない。ただ、もう一度烏月の顔見られたことが嬉しかった。
「助けてくださりありがとうございます。このまま、お会いできなくなってしまうかと思いました」
ふわりと笑いかけた由椰の頬に、烏月がそっと手を伸ばしてくる。優しく愛おしそうに触れられて、由椰の胸がドクンと鳴った。
「烏月様……?」
戸惑い気味に名前を呼ぶと、頬に触れていた烏月の手が耳のそばを撫でて頭の後ろに回る。そうしてそのまま、由椰は烏月の胸に頭を引き寄せるようにして抱きしめられた。
「お前を失うかもしれないと思うと、恐ろしかった……」
切羽詰まったような烏月の掠れた声が耳に届き、由椰の胸がドキドキと鳴る。
もう死ぬのだと思った自分の身体が、烏月の腕に包まれていることが、由椰には俄かに信じられない。それとも、由椰は既に死んでいて、幸せな夢でも見ているのだろうか……。