「この程度で某を止められると思うなど、笑止」
「この程度で貴様が止まるとは思っておらんさ!」

――上だ!
急降下してくる人。
その手に持つ薙刀を怪異に向って振り下ろす。
怪異の体が四散する。

「やったのか?」
「違う、刃が当たる直前に四散した」
「じゃあ、逃げた……訳ないよなぁ!」

後ろへ振り返ると同時に新城が言葉を紡ぐ。
怪異を祓う為の言葉。

「グフゥ!」

僕達へ刃を振り下ろそうとしていた怪異の動きが止まる。
その隙を突くために十手を繰り出す。
相手の利き腕を狙う。
振り下ろした十手が怪異の腕に直撃した。
でも、手応えがない。

「これは」
「カッカッカ!その程度の力で某に傷を与えることなど、不可能!!」
「っ!」

ギリギリのところで上半身を逸らす。
鞘から引き抜かれた刀。
少し遅かったら僕の体は両断されていた。
この怪異、只の怪異じゃない。まるで、

「こっちだ!」

薙刀を持っている少女が怪異に向って刃を振るう。
一瞬で怪異の姿が消える。
そして、僕の眼前に立つ。

「間違いない。一目見た時から感じていた」
「え、何を」

つい怪異に返事をしてしまう。
ンチアァと相手は嗤った。

「次に会う時に見定めよう」

怪異はそういうと薙刀の少女と新城に何も言わずにその場から姿を消す。

「逃がしたか」

薙刀の少女は式神を仕舞う。