「え、知らんって」
新城凍真(おれ)心浄統魔(やつ)にどういう関係があるか俺は知らない。すべてを知る人はただ一人…」

ベンチから新城は立ち上がる。

「そろそろ向き合わないといけないんだろうな」
「……新城?」
「雲川」

振り返る新城はいつもの余裕がある態度とどこか違う。
何かと向き合わなければならないという感情が出ている。

「ずっと逃げてきた問題とそろそろ向き合おうと思う……その時、お前は俺を助けてくれるか?」
「勿論」

迷わずに僕は答える。
新城が隠しているモノと向き合おうとしていて僕を必要としてくれているのなら。

「僕は力を貸すよ。何があっても」
「そうか」

短く答えると新城は手を伸ばす。

「じゃあ、手助けをしてくれ、ずっと逃げていた問題と向き合う」
「うん」

伸ばされた手を僕は握りしめる。