新城はいら立ちを隠さず指を突き付ける。

「二階堂仁衛、てめぇが転生者なのは事実だ。だが、お前は術者じゃない。術者気取りの剣士だ」
「ほぉ、何を根拠に」
「術者の振りをやめろ。いい加減、イライラする」

黒笠と対峙する新城。
その手に札や術を使う為の道具はない。
口から放つ言霊を黒笠に使用している。

「お前の正体もわかっている。確かにお前は二階堂仁衛の転生だろうよ。だが、最初の人生は違う」

短時間だが、新城は伝手を使ってある情報を調べた。
勿論、確信も根拠すらない。
戦いの中で浮かんだ直感を無碍にすることはできない。
それは短い人生ながらに新城凍真という術者が使う武器。
今回もそれが勝利に自らを近づかせる。

「お前は何度も転生を繰り返している。その転生の大本は平安時代、悪辣の名を轟かせた満外法師の式神」

――それがお前の正体だ。