◆
青鬼、千佐那。
彼女は妖界に住まう青鬼一族頭領の娘。
青鬼は本来、諜報や妖術が得意。
その中で異質と言われるのが千佐那。
彼女は幼いころから他の鬼達と比べて力が強く、気付いたら赤鬼や名高い妖怪達を倒していた。
その力は青鬼の力を凌駕していた。
いつしか、妖界において、最強の一角と言われるほどの力を持っている。
そんな力を持つ彼女とまともに斬り合える相手。
「カッカッカ!それほどの力を持つとは青鬼にしては珍しいよな」
彼女の振るう小太刀を躱していく黒笠。
「貴様は見た感じ、弱そうだった」
実際、千佐那は一度だけ人間を相手にしたことがあった。
その人間は腕に自信を持つ退魔師と妄語していた。しかし、千佐那の一太刀を受けてあっさりと敗北、みじめな姿を晒して逃げ出している。
人間は弱いと、その時、千佐那は感じて相手をしてこなかった。
そう、雲川丈二という愛したい人と出会うまで。
それに比べて目の前の相手はどうだろう。
対峙した時は自分より弱いと感じた。
だが、今は?
「!」
体を限界まで逸らす。
少し遅れて彼女の喉元を切り裂こうと凶刃が通過した。
慢心や油断が命取りになってしまう。
血沸き肉躍る……まではいかないものの、油断できない相手。
それが黒笠に対して千佐那が抱いた印象。
一瞬の思考を突くように眼前に迫る刃。
大きく後ろへのけ反って躱す。
刃が鼻先を掠める。
流れる鮮血。
「カッカッカ!流石は妖、中々に強いよな!だが、敵ではない!」
距離をとる千佐那。
持っている小太刀へ視線を向ける。
たった数回、相手の刃と重ね合わせただけだというのに刃こぼれしていた。
「所詮、安物の鉄か」
小太刀を鞘に納めて投げ捨てる。
「……フン」
近くの標識へ目を向けた。
ムンズと掴んで一気に引き抜く。
「お、おぉ!」
驚く黒笠の前で標識を上下に振り回す。
「強度に問題あるが、まだ使いやすいか」
「狂っておるな。使いやすさを選ぶか」
冷や汗を流しながら黒笠は刀を構えた。
「使いやすい以外に理由があるか?」
こてんと首を傾げる。
瞬間、千佐那の姿が掻き消える。
「ハッ!?」
眼前に標識のマークがみえた。
青鬼、千佐那。
彼女は妖界に住まう青鬼一族頭領の娘。
青鬼は本来、諜報や妖術が得意。
その中で異質と言われるのが千佐那。
彼女は幼いころから他の鬼達と比べて力が強く、気付いたら赤鬼や名高い妖怪達を倒していた。
その力は青鬼の力を凌駕していた。
いつしか、妖界において、最強の一角と言われるほどの力を持っている。
そんな力を持つ彼女とまともに斬り合える相手。
「カッカッカ!それほどの力を持つとは青鬼にしては珍しいよな」
彼女の振るう小太刀を躱していく黒笠。
「貴様は見た感じ、弱そうだった」
実際、千佐那は一度だけ人間を相手にしたことがあった。
その人間は腕に自信を持つ退魔師と妄語していた。しかし、千佐那の一太刀を受けてあっさりと敗北、みじめな姿を晒して逃げ出している。
人間は弱いと、その時、千佐那は感じて相手をしてこなかった。
そう、雲川丈二という愛したい人と出会うまで。
それに比べて目の前の相手はどうだろう。
対峙した時は自分より弱いと感じた。
だが、今は?
「!」
体を限界まで逸らす。
少し遅れて彼女の喉元を切り裂こうと凶刃が通過した。
慢心や油断が命取りになってしまう。
血沸き肉躍る……まではいかないものの、油断できない相手。
それが黒笠に対して千佐那が抱いた印象。
一瞬の思考を突くように眼前に迫る刃。
大きく後ろへのけ反って躱す。
刃が鼻先を掠める。
流れる鮮血。
「カッカッカ!流石は妖、中々に強いよな!だが、敵ではない!」
距離をとる千佐那。
持っている小太刀へ視線を向ける。
たった数回、相手の刃と重ね合わせただけだというのに刃こぼれしていた。
「所詮、安物の鉄か」
小太刀を鞘に納めて投げ捨てる。
「……フン」
近くの標識へ目を向けた。
ムンズと掴んで一気に引き抜く。
「お、おぉ!」
驚く黒笠の前で標識を上下に振り回す。
「強度に問題あるが、まだ使いやすいか」
「狂っておるな。使いやすさを選ぶか」
冷や汗を流しながら黒笠は刀を構えた。
「使いやすい以外に理由があるか?」
こてんと首を傾げる。
瞬間、千佐那の姿が掻き消える。
「ハッ!?」
眼前に標識のマークがみえた。