「祓う者、力なき女よ!次に拙者が現れるのは二日後!その時は全力で挑め、特に祓う者よ!守りてだ、守りてを必ず連れてくるのだ!!そうしなければ、お前の首は体と別れる事になるぞ!」
「この転生体め!ここで始末を」
「笑止!」

陰陽塾の女の言葉を黒笠は一蹴する。

「力なきものの言葉など拙者に響かぬ!」
「そいつの言う通りだな。派手な技に対して中身が伴ってない。お前なんか俺でも百回は同じ結果を出せるね、全勝だよ」
「な、貴様、どっちの味方だ!」
「俺は俺の味方だよ」

冷たい目で新城は陰陽塾の女をみた。

「自分の力量も理解できていない愚か者の命を二回は助けてやったんだ。感謝されるいわれはあっても文句を言われる筋合いはないね」

新城凍真は一目みただけで陰陽塾の女の実力を見抜いた。
式神の獣を操っている技術は素晴らしいものだったが、操作が未熟、力の練りこみが不安定等、欠点もすぐにわかった。

「カッカッカ!正論よなぁ。しかし」

笑いをやめて黒笠は赤い瞳をギラつかせながら新城をみる。
その目は興味深いものをみるような、懐かしさを孕んでいるような。

「貴様、心浄(しんじょう)の血を引くものか?」

告げられた心浄(しんじょう)という存在に陰陽塾の女は目を見開き。
新城凍真はぞっとする程の殺意を迸らせる。

「お前、何者だ?」

隣にいる陰陽塾の女が震えあがる程の殺意を放ちながらも頭の中は冷静な新城は黒笠に対しる警戒度を跳ね上がる。

「そうだな。本来ならば揃っているときに名乗りたかったのだが、面白いものがみれた褒美に名乗るとしよう」

頭の黒笠を外す。

「今の拙者の名前は二階堂仁衛(にかいどうじんえ)三度(みたび)、現世に生み出された者」
「「!?」」
「貴様、二階堂の家のものだというのか!?あの家は既に」
「てめぇは黙ってろ」

術を使って陰陽塾の女の口を咄嗟に封じ込めた新城。
モゴモゴいいながら手で口を動かそうとする女を横目でみつつ、黒笠、否、二階堂を睨む。

「名乗ってくれたことはどうも、こちらも――」