「勿論、そんな事が表沙汰になってはいけない。陰陽塾、当時の江戸幕府の将軍によってその事実は隠蔽された。それほどまでに転生体は危険であり、生み出す元とされる輪廻転生の術は禁術として陰陽塾によって保管されているとされている」
「それだけ危険なものなんですね」
「転生体が現れた場合、都市伝説怪異と同じように陰陽塾の連中が出張ってくる事になっている。俺達が遭遇したあの転生体の怪異も陰陽塾が何とかするって事だろう」
「ふむ、派遣された陰陽塾の人間は余計な揉め事を避けるべく、その土地で活動している祓い屋に報告する義務があったな」
「……えっと、あれが報告になるの?」

昨夜の事を思い出す。
明らかに僕達を見下していた発言。

「ならねぇだろ?」

僕の呟きに新城がツッコミを入れる。

「じゃあ、また来るって事?」
「そうだろうね。陰陽塾の事だからこの土地で一番、有名な新城君の所へ来ると思うけどね」
「……新城。お願いだから喧嘩しないでね?」
「相手の態度次第だ」

彼の言葉に工藤先生は苦笑する。
新たな厄介ごとが舞い込まないことを祈るばかり。

「あぁ、そうそう」

思い出したように工藤先生は懐から茶色い包を取り出す。
スーツの胸ポケットに入っていたと思えない程の大きさ。
何か術で収納していたのかな。

「ん」
「苦労したよ。伝手を探してなんとか整備してもらったから」
「どうも、代金は?」
「今回は非常事態だから無償だよ。いや、過去の貸しをいくつか消費でチャラにさせてもらおうかな」
「仕方ない。非常事態だし」