ああ、だるい。
帰宅してすぐ、俺は首元に巻いたネクタイを緩め、ベッドに倒れ込んだ。
時間は二十二時を回っている。
何が楽しくて、こんなクソみたいな生活を送らなければならないんだ。
いつものようにSNSを開き、全身を押し潰すような重みを書き込む。
『あー仕事辞めたい。今日も上司に怒られた。なんでこう、ミスばっかやらかすかな。上司もクソだけど、毎日ミスする俺もクソ。なんで金稼ぐためだけに、こんな苦痛を強いられねえといけねーんだ。あーまじ疲れた。世の中の仕事好きなやつとか狂ってるだろ。#仕事 #鬱 #上司クソ』
投稿ボタンをタップし、俺は画面を閉じた。
生きるための手段がこれか。これが何十年と続くのかと思うと、途端に未来への絶望感に苛まれる。
起きて、朝食を食べ、仕事へ行き、怒られながら働いて。どろどろに疲れて帰ってきて、買ってきた惣菜を食べるか食べないか。シャワーを浴びるかそのまま疲れ果てて寝てしまうか。そして起きてまた仕事へ行く毎日。
一体どこに生きる意味があるのだろうか。よくこんな世の中で、みんな毎日働けるなと心の底から尊敬する。
今日はもう駄目だ。瞼がもう上がらない。
そのまま俺は、鉛の体から抜け出すように、深いところまで落ちていった。