「あら、時雨、今日から夏休みなのに、早く起きたのねぇ」
朝起きると、ばあちゃんが話しかけてきた。俺は日照に会うために起きただけなんだけどね。
「うん。ちょっと…友達と会う約束があって」
「そうなんだね。楽しんでいってらっしゃい」
ばあちゃんはそう言って、にっこりと微笑んだ。そして、そうだと、俺に訊ねてくる。
「その子のお家も、スイカ食べる?分けてあげようと思って。やっぱり二人じゃ多すぎたでしょう」
俺は、こう思ってしまった。幽霊って、なんか食べんの?
「ごめん、たぶんそいつの家、今ちょうど近所の人から色々もらったって言ってたから、無理かも」
「そうなの?ならしょうがないか」
適当に思いついた即興のセリフで危機的状況を回避できて、だいぶほっとした。
お供え物みたいな感じでできるのかもしれないけれど、幽霊という存在のことをまだ分かりきっていない俺は、踏みとどまるべきだろう。なんか怖いし。
毎朝のルーティーンを終えて、行ってきますと家を出た。
朝、というか午前中の公園は、ここら辺だと割と静かだ。俺のお気に入りスポットでもある。
日照の姿が視えなかったので、ブランコに乗って待つ。俺みたいな高一男子がこぐには小さいので、座るだけだ。
すると、左側から、すぅっと冷気が来た気がした。
「…日照?」
声をかけると、その姿は段々と視えてきた。
「驚かせたかったのに、なんなんだよその地味なリアクションは」
驚かせたかったなんて知らないし、と思いつつも、日照の話を聞く。
「とりあえず、おはよ。ここはナイスチョイスな場所だわ。人がいる場所だと、俺と時雨が喋ってても、他の人には時雨が一人で喋ってるみたいな感じになるから」
「おはよ。それはやだ」
だろ?と日照が言って、俺はさっきの話に納得した。
「で、ただ話すだけじゃ物足りないので、駄菓子屋に行きましょう。そんでお菓子を食べながら話しましょう」
「日照食べられないんじゃない?」
「気分だけ味わいたいんだよ!行くぞ!」
めんどくせ、と思いながら、仕方なく駄菓子屋に向かう。
「いらっしゃいませ」
俺は、日照に頼まれた物をかごに入れていった。棒状のスナック菓子二本と、ぶどう味の板ガム一枚と、飲み物じゃない方のラムネ一個。俺は、せんべいとハッカ味の飴玉とチューイングキャンディー、それぞれ一つずつ。
お会計に行こうとした時、また冷気を感じた。
「ごめん!!せんべい俺のも買って!」
「なんで今更なんだよ、てか他の人に聞こえたらまじやばいからやめろ!」
「お願い!」
小声のやり取りが続く。最終的に、もういいよ買ってくるよと、俺は言った。
朝起きると、ばあちゃんが話しかけてきた。俺は日照に会うために起きただけなんだけどね。
「うん。ちょっと…友達と会う約束があって」
「そうなんだね。楽しんでいってらっしゃい」
ばあちゃんはそう言って、にっこりと微笑んだ。そして、そうだと、俺に訊ねてくる。
「その子のお家も、スイカ食べる?分けてあげようと思って。やっぱり二人じゃ多すぎたでしょう」
俺は、こう思ってしまった。幽霊って、なんか食べんの?
「ごめん、たぶんそいつの家、今ちょうど近所の人から色々もらったって言ってたから、無理かも」
「そうなの?ならしょうがないか」
適当に思いついた即興のセリフで危機的状況を回避できて、だいぶほっとした。
お供え物みたいな感じでできるのかもしれないけれど、幽霊という存在のことをまだ分かりきっていない俺は、踏みとどまるべきだろう。なんか怖いし。
毎朝のルーティーンを終えて、行ってきますと家を出た。
朝、というか午前中の公園は、ここら辺だと割と静かだ。俺のお気に入りスポットでもある。
日照の姿が視えなかったので、ブランコに乗って待つ。俺みたいな高一男子がこぐには小さいので、座るだけだ。
すると、左側から、すぅっと冷気が来た気がした。
「…日照?」
声をかけると、その姿は段々と視えてきた。
「驚かせたかったのに、なんなんだよその地味なリアクションは」
驚かせたかったなんて知らないし、と思いつつも、日照の話を聞く。
「とりあえず、おはよ。ここはナイスチョイスな場所だわ。人がいる場所だと、俺と時雨が喋ってても、他の人には時雨が一人で喋ってるみたいな感じになるから」
「おはよ。それはやだ」
だろ?と日照が言って、俺はさっきの話に納得した。
「で、ただ話すだけじゃ物足りないので、駄菓子屋に行きましょう。そんでお菓子を食べながら話しましょう」
「日照食べられないんじゃない?」
「気分だけ味わいたいんだよ!行くぞ!」
めんどくせ、と思いながら、仕方なく駄菓子屋に向かう。
「いらっしゃいませ」
俺は、日照に頼まれた物をかごに入れていった。棒状のスナック菓子二本と、ぶどう味の板ガム一枚と、飲み物じゃない方のラムネ一個。俺は、せんべいとハッカ味の飴玉とチューイングキャンディー、それぞれ一つずつ。
お会計に行こうとした時、また冷気を感じた。
「ごめん!!せんべい俺のも買って!」
「なんで今更なんだよ、てか他の人に聞こえたらまじやばいからやめろ!」
「お願い!」
小声のやり取りが続く。最終的に、もういいよ買ってくるよと、俺は言った。