「まぁ、俺らって、前世親友だったし?」
「…は?」
前世って何、と思った。前世とか、俺知らないけど。すると、日照が口を開いた。
「俺も、詳しくは覚えてないんだよ。生きてる時の記憶があんまり思い出せない。だから、前世で親友だった時雨と一緒にいたら、何かわかるかもしれないって思った。それで、俺の記憶探しに協力して欲しいんだ」
「…その記憶探しに協力したら、屋上に住みつかなくなる?」
「そう。お互いにとってもプラスなことだろ?だから、一緒に組もうぜ」
日照は、眩しい太陽を上に、こう言った。
「俺が成仏されるように、俺が生きてた時の記憶を取り戻す『記憶探し』を手伝って」
人間じゃないやつの記憶探しに協力するって、結構怖い。しかも、俺にとっては初対面だ。
まだ半信半疑だけど、協力したら、屋上独り占めできんだろ。
「…協力してやるよ。屋上を独り占めするために」
俺はそう言ってしまった。でも、後悔はしていない。むしろ、疑いが晴れてなさすぎて、この謎の強気でやってやるよ感がある。本当にそれで成仏されんだろ、それで屋上ゲットできんだろ。
「よし、まずは友達になったな!よろしく、時雨!」
「いや、友達とか知らないし」
「前世と後世で繋いでおくんだよ!友達っていうものを!」
「そういう人、俺嫌いなんだけど」
とりあえず、と、そのノリで日照が握手をしてこようとした。俺は、嫌々やってやるかと思って握手をしようとしたところ、するりと日照の手を貫通したので、二人で笑ってしまった。
貫通した時の、あの独特なひんやり感は、きっと一生忘れないと思った。
明日から夏休みだ。明日、坂の上にある公園でと言って、日照と別れた。
そして今、なんとなく感じていることがある。
少し、楽しみかも。
「ただいま」
「おぉ、時雨、おかえり」
ばあちゃんが、ちょうどスイカを切っていた。
うちの家は、というかうちの両親は、ここら辺でいうちょっと都会な所と、この田舎町を行ったり来たりしている。
父母、仕事の関係でやはり都会の方が交通の便が良く、暮らしやすいのだそうだ。
俺が高校を卒業するまでは、この田舎町に居なさいと言われている。きっと、ばあちゃんのこともあるからだ。
月二でこっちに帰ってくるので、基本毎日ばあちゃんとの生活である。俺もたまに両親が住んでいる所に行ったりするけれど。
「向かいの富田さん家がね、スイカをまるまる一玉くれたのよ。そりゃあもうみずみずしくて、切っただけなのにスイカジュースが作れちゃった。ほら、食べる?」
ばあちゃんがそう言って、赤く輝くスイカを目の前に置いた。可愛らしい浅型のガラスの器に、スイカが三切れ並んでいた。
「ありがと。食べる」
手洗いうがいを済ませ、スイカにかぶりつく。シャク…っと、スイカを嚙んだ時に響く独特な音が聞こえる。
「どう?おいしいでしょう」
「おいしい。めっちゃ甘い」
「よかったぁ。私も食べないと、食べごろのうちに」
これまで食べたスイカの中で、今年の夏が一番おいしく感じた。それは富田さんの力であるのか、はたまたあの幽霊のせいで気持ちが浮ついているのか。どちらにせよ、おいしいという事実は変わらなかった。
「…は?」
前世って何、と思った。前世とか、俺知らないけど。すると、日照が口を開いた。
「俺も、詳しくは覚えてないんだよ。生きてる時の記憶があんまり思い出せない。だから、前世で親友だった時雨と一緒にいたら、何かわかるかもしれないって思った。それで、俺の記憶探しに協力して欲しいんだ」
「…その記憶探しに協力したら、屋上に住みつかなくなる?」
「そう。お互いにとってもプラスなことだろ?だから、一緒に組もうぜ」
日照は、眩しい太陽を上に、こう言った。
「俺が成仏されるように、俺が生きてた時の記憶を取り戻す『記憶探し』を手伝って」
人間じゃないやつの記憶探しに協力するって、結構怖い。しかも、俺にとっては初対面だ。
まだ半信半疑だけど、協力したら、屋上独り占めできんだろ。
「…協力してやるよ。屋上を独り占めするために」
俺はそう言ってしまった。でも、後悔はしていない。むしろ、疑いが晴れてなさすぎて、この謎の強気でやってやるよ感がある。本当にそれで成仏されんだろ、それで屋上ゲットできんだろ。
「よし、まずは友達になったな!よろしく、時雨!」
「いや、友達とか知らないし」
「前世と後世で繋いでおくんだよ!友達っていうものを!」
「そういう人、俺嫌いなんだけど」
とりあえず、と、そのノリで日照が握手をしてこようとした。俺は、嫌々やってやるかと思って握手をしようとしたところ、するりと日照の手を貫通したので、二人で笑ってしまった。
貫通した時の、あの独特なひんやり感は、きっと一生忘れないと思った。
明日から夏休みだ。明日、坂の上にある公園でと言って、日照と別れた。
そして今、なんとなく感じていることがある。
少し、楽しみかも。
「ただいま」
「おぉ、時雨、おかえり」
ばあちゃんが、ちょうどスイカを切っていた。
うちの家は、というかうちの両親は、ここら辺でいうちょっと都会な所と、この田舎町を行ったり来たりしている。
父母、仕事の関係でやはり都会の方が交通の便が良く、暮らしやすいのだそうだ。
俺が高校を卒業するまでは、この田舎町に居なさいと言われている。きっと、ばあちゃんのこともあるからだ。
月二でこっちに帰ってくるので、基本毎日ばあちゃんとの生活である。俺もたまに両親が住んでいる所に行ったりするけれど。
「向かいの富田さん家がね、スイカをまるまる一玉くれたのよ。そりゃあもうみずみずしくて、切っただけなのにスイカジュースが作れちゃった。ほら、食べる?」
ばあちゃんがそう言って、赤く輝くスイカを目の前に置いた。可愛らしい浅型のガラスの器に、スイカが三切れ並んでいた。
「ありがと。食べる」
手洗いうがいを済ませ、スイカにかぶりつく。シャク…っと、スイカを嚙んだ時に響く独特な音が聞こえる。
「どう?おいしいでしょう」
「おいしい。めっちゃ甘い」
「よかったぁ。私も食べないと、食べごろのうちに」
これまで食べたスイカの中で、今年の夏が一番おいしく感じた。それは富田さんの力であるのか、はたまたあの幽霊のせいで気持ちが浮ついているのか。どちらにせよ、おいしいという事実は変わらなかった。