***



夏祭りが始まる時間になった。



私はもう、
〝幽霊〟だから食べられないのに。



「さーちゃん、食べる?」



私を、『さーちゃん』と呼んで、
いつもの笑顔で聞いてくるちーくん。



こんなこと、
ちーくんに言うのは心苦しいけど。



「(私、幽霊だから食べられないよ?
ても、私の代わりに食べてほしいっ、)」



そう伝えると...........................



「全部、さーちゃんの好きなやつ、だもんな」

「(うん、好きな、やつ、)」



私がちーくんにお願いして、
買ってきて貰ったのは、全部好きな、やつ。



焼きそばに、りんご飴に、
ポップコーンに、たこ足。



子供の頃から、ちーくんと食べてて。



沢山思い出が詰まった、好きな、やつ。