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…金髪を揺らす彼女は戸棚を開けて覗いて閉めてまた違う所を開けた。
彼女は鮎澤曜(あゆさわひかり)と言った。
濃紺の屋根の大きな館で、ただ狂うように求めて探していた。
それは濃厚な赤、幸福の味、至極の一飲み。
薔薇のオーデコロンが混ざったため息がこぼれる。
三宅牧(みやけまき)はそれを横目で感じながら指先を微かに震わせていた。