「だるいってまじだったの?」
冬休みが明けた週の土曜日、パチンコから帰ってくるなり慶が言った。昼間パチンコについていった私は、なんだか体がだるいと言って先に帰ってきたのだ。
なぜ体調不良宣言を疑うのかと苛立ちながら「うん」と返す。
「熱あんの? 風邪?」
「ううん、生理前だからだと思う」
「……そっか」
ポケットから財布とスマホを煙草を出し、一つずつテーブルに置く。布団に横になっている私を覗き込んだ慶の顔つきに嫌な予感がして、思わず全身が強張った。
慶は布団を剥いで、私の服に手をかけた。
「ちょ、待って、慶、ほんとにだるいんだってば」
「もうすぐ生理なんだろ?」
つまり、しばらくできないなら今のうちにヤらせろ、というわけだ。
ニットのボタンが外されていく。抵抗したいのに、体がだるくて力が入らない。
服を脱がし、私の体をまさぐる。こんな状態で受け入れられるはずがなければ、慶がまるで野生の獣みたいに見えた。
ああ、まただ。心を殺す時間が来る。
慶のセックスはあまりにも一方的で、苦痛でしかなかった。
札幌に来てから、慶は毎日のように体を求めてくる。最初は歯を食いしばってでも耐えていたけれど、もうとっくに限界を越えていた。慶への嫌悪感は増すばかりだった。
次第に体が慶を受け入れることを拒絶するようになり、それが気に入らない慶は意固地になって無理やり事を済ませるのだ。避妊すらせずに。
「──めて。嫌だってば!」
まるで体の中をえぐられているみたいな痛みに、思わず叫んだ。
慶が顔を歪めて私の体から手を離した瞬間、上半身を起こしてあとずさった。
「……おまえ、まじでなんなんだよ」
こっちの台詞だ。
いくらなんでもひどすぎる。こんなの強姦と言ってもいい。