慎ちゃんは、中三の二月から高一の十二月にかけて付き合っていた──人生で一番大好きだった人。
一緒に過ごした日々は、信じられないくらい幸せだった。だけど、一生続くと信じていた、続いてほしいと願っていた輝かしい日々は、たったの一年弱で呆気なく散ってしまった。
──陽芽、ごめん。……別れよう。
慎ちゃんに告げられたとき、自分の存在がなくなっていくような絶望感に呑まれた。至極シンプルに言うなら、死ぬほど泣いた。人は涙を流しすぎたら死ぬのかもしれないと思うくらいに、ただただ泣き続けた。
そして慎ちゃんが私と別れた本当の理由を知ったとき、私は初めて空っぽになった。私を取り巻く全てを呪い、世界が壊れてしまえばいいのにと心から願った。
慶は勘違いしている。
慶のことなんか、もうとっくに好きじゃない。『悪夢としか思えない』と言われたあの瞬間から、ずっと。
私たちに、未来なんかない。
それでも私には、慶と別れない二つの理由がある。