連絡を取り合うようになり、度々会う仲になった。地元が近いこと、そして高校も同じだったことが発覚した。とにかく気が合っていくら話しても話し足りず、運命の相手だと思えるほどだった。
美莉愛も、あの日なぜオレに話しかけてくれたのか訊くと、一目見た瞬間に運命を感じたからだと言ってくれた。
美莉愛に対する感情は、美莉愛と見る世界は、全部が今までと違っていた。
そしてリードされるがままに、言葉よりも先に体で繋がった。
その後オレから告白し、オレたちは正式に付き合い始めた。
美莉愛と離れている時間は、耐えがたいほど苦痛だった。
だから実家を出て札幌の大学に進学することに決めた。寂しそうにする母さんを見て心が痛んだけど、喜んでくれた美莉愛を見てオレの選択は間違っていなかったと思えた。他の何を手放してでも美莉愛のそばにいたかった。
だけど、オレが北大に受かって札幌に住むことが決まった、高三の三月。
これからはずっと一緒にいられると言ったとき、美莉愛は目に涙を溜めて『別れよう』と呟いた。
美莉愛は大企業の社長令嬢で、自由な恋愛が赦される立場ではなかった。いずれは父親が用意した相手と婚約し、結婚する。それは生まれたときから決まっていることなのだと、そしてとうとうその日が来てしまったのだと、美莉愛はオレの胸で涙を流していた。
──ほんとは慶と一緒にいたい。だけど……パパを悲しませるのも、同じくらい辛いの。
美莉愛に親を裏切るような真似をさせるわけにはいかなかった。父さんと母さんを悲しませたくない気持ちは痛いほどわかる。オレが同じ立場だとしても、美莉愛と同じ決断をしたかもしれない。
──わかった。オレは大丈夫だから、絶対に幸せになれよ。
──けど、もし辛いこととかあったら頼ってよ。美莉愛が辛いときは絶対一人にさせないから。
オレたちは一緒に泣きながらそう約束を交わし、〝友達〟でいる決意をした。