冥界まで突き抜けてしまいそうな沈黙の後、青年は吐き捨てました。
「いや。オレ、しょんべん臭いガキには興味ないから」
まあ、そうですよね。わたしは非常に納得しましたが、女神さまは納得されません。
「どうして、どうしてじゃあぁー!!」
まことに嘆かわしいことにございます。
「おい、おまえ。わらわを好きであろう」
「はあ? こまっしゃくれたガキが。出るとこ出てから言え」
「そこのおまえ。わらわを好きと言え」
「出すもん出すならな」
「ああ、もう! おまえでいい! そこのおジジ。わらわをどう思う」
「かわいいなあ。お菓子あげようか」
「わらわを好きか?」
「もちろん好きですよ。お菓子をあげるから……」
露骨に気持ち悪い笑顔に、女神さまも逃げ出します。
「ふむ。『好き』と言葉にされればよいというわけではないのだな」
「それくらい試さなくても気づきましょうよー。父神さまは『心から好かれたら』っておっしゃったのですから」
「うーむ……」
再び道端にしゃがみこんで女神さまは唸っています。
「それにしてもオカシイではないか。わらわはうるわしの女神。誰もがわらわの姿に魅了されるはずじゃ。なのにこの仕打ちはどうしたことか。この街の男たちは目がおかしくなったのではないのか?」
「でーすーかーらー」
はあっとわたしは女神さまのまわりを一周します。
「今のご自分のお姿わかってます? 顔は、まあ、そのままお小さくなっただけですからね。普通にしてれば可愛らしゅうございますが。胸はぺったんこ、おしりもぺったんこ、寸胴体形のなんの色気もないお子ちゃまですよ? 幼女に手を出すほど困ってはいないということで、男性たちの余裕っぷりを喜ぶべきなのでは?」
「ううむ。この姿を心から好きだとぬかす奴を探し出すのは困難を極めるわけだな。父さまも意地が悪いことをなされる」
いえいえ、そういうことではないでしょうに。思いましたが、それを教えてさしあげるのは憚られました。ご本人が気づかなければならないことでしょう。
くうぅっとなんとも頼りなく小さなおからだのお腹が鳴ります。
「腹が減ったのう」
さんざん住宅区を歩き回って疾うに昼はすぎております。じきに太陽は傾き出すでしょう。
「ねえねえ、女神さま。先ほどのテオの家に戻りましょうよ」
「む。何故じゃ? あのような無礼者に用はない。あやつこそわらわを最大限に侮辱したのだぞ」
そうとう「ちんちくりん」を根に持っているようにございます。
「いや。オレ、しょんべん臭いガキには興味ないから」
まあ、そうですよね。わたしは非常に納得しましたが、女神さまは納得されません。
「どうして、どうしてじゃあぁー!!」
まことに嘆かわしいことにございます。
「おい、おまえ。わらわを好きであろう」
「はあ? こまっしゃくれたガキが。出るとこ出てから言え」
「そこのおまえ。わらわを好きと言え」
「出すもん出すならな」
「ああ、もう! おまえでいい! そこのおジジ。わらわをどう思う」
「かわいいなあ。お菓子あげようか」
「わらわを好きか?」
「もちろん好きですよ。お菓子をあげるから……」
露骨に気持ち悪い笑顔に、女神さまも逃げ出します。
「ふむ。『好き』と言葉にされればよいというわけではないのだな」
「それくらい試さなくても気づきましょうよー。父神さまは『心から好かれたら』っておっしゃったのですから」
「うーむ……」
再び道端にしゃがみこんで女神さまは唸っています。
「それにしてもオカシイではないか。わらわはうるわしの女神。誰もがわらわの姿に魅了されるはずじゃ。なのにこの仕打ちはどうしたことか。この街の男たちは目がおかしくなったのではないのか?」
「でーすーかーらー」
はあっとわたしは女神さまのまわりを一周します。
「今のご自分のお姿わかってます? 顔は、まあ、そのままお小さくなっただけですからね。普通にしてれば可愛らしゅうございますが。胸はぺったんこ、おしりもぺったんこ、寸胴体形のなんの色気もないお子ちゃまですよ? 幼女に手を出すほど困ってはいないということで、男性たちの余裕っぷりを喜ぶべきなのでは?」
「ううむ。この姿を心から好きだとぬかす奴を探し出すのは困難を極めるわけだな。父さまも意地が悪いことをなされる」
いえいえ、そういうことではないでしょうに。思いましたが、それを教えてさしあげるのは憚られました。ご本人が気づかなければならないことでしょう。
くうぅっとなんとも頼りなく小さなおからだのお腹が鳴ります。
「腹が減ったのう」
さんざん住宅区を歩き回って疾うに昼はすぎております。じきに太陽は傾き出すでしょう。
「ねえねえ、女神さま。先ほどのテオの家に戻りましょうよ」
「む。何故じゃ? あのような無礼者に用はない。あやつこそわらわを最大限に侮辱したのだぞ」
そうとう「ちんちくりん」を根に持っているようにございます。