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「東条さん」

　予知夢の余韻が消えないまま学校に行くと、クラスメートのカナミに声をかけられた。

「今日の放課後、遊ばない？　Ｓ高に通ってる地元の友達が、東条さんのこと紹介してほしいんだって」

　カナミがそう言って、にこにこ笑う。長い髪の毛の先をゆるく巻き、薄らと化粧をしているカナミは、社交的な性格でクラスでも目立つタイプの女子だ。

　友達でもなければ特に親しいわけでもないのに、カナミはしょっちゅう瑠奈を遊びに誘ってくる。その目的が自分の容姿にあることはわかっていたから、瑠奈は無言でカナミから目を逸らした。

　中学生頃まではあまり自覚がなかったが、どうやら瑠奈の顔は美人の部類に入るらしい。特別な手入れをしていないが長い髪はつやつやだし、化粧をしていなくても肌はきめ細かく透明で、切れ長の目は大きく、睫毛も長い。

　高校に進学してすぐに行われた体育祭のあと、カナミが友達とおそろいの髪型とメイクで撮った写真をSNSにアップした。その背景に小さく瑠奈が写り込んでいたらしい。

「この超綺麗な子、誰？」と、瑠奈のことがカナミの友達界隈で話題になり、それがキッカケでカナミに絡まれるようになった。瑠奈からしてみればいい迷惑だ。