マンションの屋上のフェンスをよじ登り、下を見ていた。死のうと思って上ってきたが、恐怖で足がすくむ。死にたいのに中々、飛び降りられない。しかし、生きていてもいいことなんてない。4千万もの借金を返せるあてもない。
意を決して飛び降りようとしたときに、ケータイが鳴り気持ちが切れた。ケータイを取り出し、メールを見た。
「えっ!?」
差出人不明のそのメールはあまりに不思議なメールだったので驚いた。
そこには『招待状』と書かれて次のように記載されていた。
6月30日に1億円の賞金をかけたゲームを開催いたします。参加の意思がある方は本メールに『参加希望』と記載の上、返信してください。後日、開催場所を連絡致します。
1億円!なんだ、このメールは……。こんなメールは明らかに怪しい。しかし、賞金が1億円と書いてある。欲しい。1億円は欲しい。1億円があれば余裕で借金が返せる。
怪しいのは重々承知していたが、自殺するのはやめて、このゲームに参加してみることにした。
朝海大晴は返信をして後日の連絡を待った。
6月30日。送られてきたメールに書かれていた開催場所へと来ていた。そこは廃園した遊園地だった。遊園地の入口へと来た朝海大晴は参加者の中で一番最後だったようだ。そこで知った顔を一人見つけた。
「久しぶり」それほど仲が良かったわけではないが心細さのあまり、すぐに話しかけにいった。
「おぉ、朝海?久しぶりだな」湖口琵道は言った。
「久しぶり。こんなところで知り合いに会えるとは思ってなかった」
「お前も賞金に目がくらんだのか?」
「そうそう。怪しさはあったけど1億円に釣られて来てしまった。でもよかった、知ってる人がいて」
「お互い、頑張ろうな」湖口琵道は言った。
《本日はお集まりいただきありがとうございます。全員集まりましたので、詳細について説明いたします》
どこかからスピーカーの声がきこえてきた。その声は器械で変えられているようだった。
《ここにいる10名であるゲームを行ってもらいます。そのゲームで勝ち残った最後の1名に約束通り1億円を賞金としてお渡しします》
今、この場には10人いてるのか。10人でやるゲームってなんだ。ここまで来たら絶対に1億円を手にして帰ってやる。
《それで、皆さんにやっていただくゲームですが……》
なんだ!どんなゲームなんだ!!
《椅子取りゲームです》
椅子取りゲーム?子供の頃に誰もがやったことがあるであろう、あの椅子取りゲームのことか。
《椅子取りゲームといっても、椅子を輪に並べて行う、皆さんが知っている椅子取りゲームと少々趣が異なります》
普通の椅子取りゲームとは違うってことか。一体、どんなゲームなんだ。
《では、皆さんにやっていただく椅子取りゲームのルールについて説明します。まず、皆さんに取り合ってもらう椅子はこの遊園地の園内にランダムに置かれています。10人12脚スタートです。椅子の背中には文字が1字ずつ書かれています。そして毎ターン、ターン終了時に1脚、椅子は消えていきます。消される椅子に宣言された椅子に座っていた人は失格となります。椅子に座れなかった人も失格です。これを繰り返して最後の1人になるまで行います。文字は雨などでも落ちる恐れがあるので、雨が降ればゲームは一時中断されます。1ターンに1脚、必ず椅子は消えていきます。消える椅子にはある法則があり、その法則に則って、椅子は消えていき、座れなくなります。どんな形であれ、座れなくなった椅子には座れません。座れなくなった椅子が消される椅子に宣言されることはありません。そして、消される椅子などゲームの進行についてのやりとりはこのゲームのために開発した音声通話型SNSで行います。ゲームの進行についての連絡は強制的に通話状態となります。このSNSを使ってプレイヤー間での通話もできます。椅子取りゲームでは着座までの間、音楽が流れているわけですが、その音楽は遊園地内に設置されている複数のスピーカーから流します。これで遊園地内のどこにいても音楽を聞くことができるようになっています。遊園地内はそれなりに広いです。よって、着座までの猶予は長く取っています。少なくとも30分間は音楽を流します。その後、音楽が止まると着座となります。同じ椅子に連続で座ることはできません。連続でなければ、同じ椅子に何度でも座れます。それと、プレイヤー間の暴力行為は禁止いたします。自分が座れない椅子にいつまでも手をかけているのも禁止します。特に休憩時間とかは設けていません。廃園していますがトイレは使えるので自由に行ってもらっても構いません。そして最後、椅子が3脚以下になったら中央のセントラルゾーンに椅子を集めます。最後はそこでの決戦となります。セントラルゾーンにもトイレはあります。ルール説明は以上です》
ルール説明を聞いて朝海大晴はとりあえず、まずは椅子を見つけなければならないと思った。本来の椅子取りゲームなら椅子は輪の状態で置かれているので椅子を探すという行為自体ない。しかし、この椅子取りゲームではどこに置かれているかわからない椅子を探すところから始まる。見つけれなければ、それで終わりだ。
《それでは、皆さんにはペンを渡しますので、こちらで名前を記入していただき、このゲーム独自のSNSのアプリをインストールしていただいたら園内へと入ってもらいます》
朝海は言われた通りにペンを受け取り、名前を書きSNSをインストールした。そのSNS上で、今、説明されたルールを確認することができた。
園内へと入って行くと廃園しているだけあって、整備が行き届いていない様子で、雑草も伸び、ペットボトルや空き缶などゴミも散乱していた。
《それでは、これより椅子取りゲームを開始いたします》ケータイから突然、声が聞こえてきた。《第1ターンスタート》
ケータイの画面に1ターン目と表示されて、園内のスピーカーからはオクラホマミキサーが鳴り響いた。
意を決して飛び降りようとしたときに、ケータイが鳴り気持ちが切れた。ケータイを取り出し、メールを見た。
「えっ!?」
差出人不明のそのメールはあまりに不思議なメールだったので驚いた。
そこには『招待状』と書かれて次のように記載されていた。
6月30日に1億円の賞金をかけたゲームを開催いたします。参加の意思がある方は本メールに『参加希望』と記載の上、返信してください。後日、開催場所を連絡致します。
1億円!なんだ、このメールは……。こんなメールは明らかに怪しい。しかし、賞金が1億円と書いてある。欲しい。1億円は欲しい。1億円があれば余裕で借金が返せる。
怪しいのは重々承知していたが、自殺するのはやめて、このゲームに参加してみることにした。
朝海大晴は返信をして後日の連絡を待った。
6月30日。送られてきたメールに書かれていた開催場所へと来ていた。そこは廃園した遊園地だった。遊園地の入口へと来た朝海大晴は参加者の中で一番最後だったようだ。そこで知った顔を一人見つけた。
「久しぶり」それほど仲が良かったわけではないが心細さのあまり、すぐに話しかけにいった。
「おぉ、朝海?久しぶりだな」湖口琵道は言った。
「久しぶり。こんなところで知り合いに会えるとは思ってなかった」
「お前も賞金に目がくらんだのか?」
「そうそう。怪しさはあったけど1億円に釣られて来てしまった。でもよかった、知ってる人がいて」
「お互い、頑張ろうな」湖口琵道は言った。
《本日はお集まりいただきありがとうございます。全員集まりましたので、詳細について説明いたします》
どこかからスピーカーの声がきこえてきた。その声は器械で変えられているようだった。
《ここにいる10名であるゲームを行ってもらいます。そのゲームで勝ち残った最後の1名に約束通り1億円を賞金としてお渡しします》
今、この場には10人いてるのか。10人でやるゲームってなんだ。ここまで来たら絶対に1億円を手にして帰ってやる。
《それで、皆さんにやっていただくゲームですが……》
なんだ!どんなゲームなんだ!!
《椅子取りゲームです》
椅子取りゲーム?子供の頃に誰もがやったことがあるであろう、あの椅子取りゲームのことか。
《椅子取りゲームといっても、椅子を輪に並べて行う、皆さんが知っている椅子取りゲームと少々趣が異なります》
普通の椅子取りゲームとは違うってことか。一体、どんなゲームなんだ。
《では、皆さんにやっていただく椅子取りゲームのルールについて説明します。まず、皆さんに取り合ってもらう椅子はこの遊園地の園内にランダムに置かれています。10人12脚スタートです。椅子の背中には文字が1字ずつ書かれています。そして毎ターン、ターン終了時に1脚、椅子は消えていきます。消される椅子に宣言された椅子に座っていた人は失格となります。椅子に座れなかった人も失格です。これを繰り返して最後の1人になるまで行います。文字は雨などでも落ちる恐れがあるので、雨が降ればゲームは一時中断されます。1ターンに1脚、必ず椅子は消えていきます。消える椅子にはある法則があり、その法則に則って、椅子は消えていき、座れなくなります。どんな形であれ、座れなくなった椅子には座れません。座れなくなった椅子が消される椅子に宣言されることはありません。そして、消される椅子などゲームの進行についてのやりとりはこのゲームのために開発した音声通話型SNSで行います。ゲームの進行についての連絡は強制的に通話状態となります。このSNSを使ってプレイヤー間での通話もできます。椅子取りゲームでは着座までの間、音楽が流れているわけですが、その音楽は遊園地内に設置されている複数のスピーカーから流します。これで遊園地内のどこにいても音楽を聞くことができるようになっています。遊園地内はそれなりに広いです。よって、着座までの猶予は長く取っています。少なくとも30分間は音楽を流します。その後、音楽が止まると着座となります。同じ椅子に連続で座ることはできません。連続でなければ、同じ椅子に何度でも座れます。それと、プレイヤー間の暴力行為は禁止いたします。自分が座れない椅子にいつまでも手をかけているのも禁止します。特に休憩時間とかは設けていません。廃園していますがトイレは使えるので自由に行ってもらっても構いません。そして最後、椅子が3脚以下になったら中央のセントラルゾーンに椅子を集めます。最後はそこでの決戦となります。セントラルゾーンにもトイレはあります。ルール説明は以上です》
ルール説明を聞いて朝海大晴はとりあえず、まずは椅子を見つけなければならないと思った。本来の椅子取りゲームなら椅子は輪の状態で置かれているので椅子を探すという行為自体ない。しかし、この椅子取りゲームではどこに置かれているかわからない椅子を探すところから始まる。見つけれなければ、それで終わりだ。
《それでは、皆さんにはペンを渡しますので、こちらで名前を記入していただき、このゲーム独自のSNSのアプリをインストールしていただいたら園内へと入ってもらいます》
朝海は言われた通りにペンを受け取り、名前を書きSNSをインストールした。そのSNS上で、今、説明されたルールを確認することができた。
園内へと入って行くと廃園しているだけあって、整備が行き届いていない様子で、雑草も伸び、ペットボトルや空き缶などゴミも散乱していた。
《それでは、これより椅子取りゲームを開始いたします》ケータイから突然、声が聞こえてきた。《第1ターンスタート》
ケータイの画面に1ターン目と表示されて、園内のスピーカーからはオクラホマミキサーが鳴り響いた。