「────お? 巫寿じゃーん! どこ行くんだ?」
授業終わりの放課後、神楽練習室へ向かっているとその途中で瑞祥さんと聖仁さんに会った。
瑞祥さんは千早を羽織った正装で、聖仁さんも狩衣を身につけている。
「瑞祥さん聖仁さん、こんにちは。ちょうど練習室に向かってて」
「あれ、盛福から今日は休みだって聞いてない?」
「え? 盛福ちゃん達からは自由参加の自主練だって……」
あ、と二人は顔を見合わせる。
「巫寿、お前真面目だな!? いつも自由参加って言ったら誰も来ないぞ!」
「えっ、そうなんですか?」
「自由参加の自主練って言ってるけど、実質は休みなんだ。一応さっき部屋の鍵は開けてきたけど、多分今日は誰も来ないよ」
そうだったんだ、と目を瞬かせる。
「そうだ巫寿ちゃん。今日は門限まで予定ない?」
「門限まで……? 部活だと思ってたので、特には……」
部活の後も特に誰かと約束をした訳でもない。
嘉正くんのお見舞いも薫先生からストップ指示があったので行けないし。