やがてクロレルシティの中心街を歩けば、
「おぉ、ご成長目覚ましい次期領主候補! クロレル様だ! わたしはこの街の名前が誇らしいよ」
「あれが……! 容姿までお美しい! 雰囲気があるわ」
こう言われるまでに評判は回復していた。
それは貴族社会でも同様だ。
社交の場でも徹底的に善人として振る舞い、次期後継者としての立場を確立した。
女性と接するのは慣れなかったが、クロレルの婚約者・セレーナとの仲がより円満にはぐくまれるように努力もした。
「それに比べて弟のアルバ様はひどいそうよ。自分だけ、才能もなければ容姿も悪いことの腹いせだとかって、ハーストンシティで暴れまわってるうえ、夜は遊女を捕まえて豪遊してるって」
まぁ、本当のクロレルは俺の身体を使って好き勝手やってたんだけどね?
おかげで、俺の評判はめちゃくちゃに落ちていた。
勝手に容姿に劣等感を持っていることにされたのはイラっとしたが、まぁ結果は同じだ。
クロレルの評判は急上昇し、俺の評判は落ちた。
それだけのことである。
こうして次期領主候補レースに、すっかり差がついたところで、またしても突然に入れ替わりは終わった。
それが約2週間ほど前のことだ。
そして今、入れ替わっていた頃にクロレルが起こした悪事の責任を取る形で、俺、アルバ・ハーストンは辺境地の開拓使を命じられた。
要するに、追放処分を受けたのだ。
まあ自由になりたかった俺としては、捕まらずに済んだため、結果的には願ったりかなったりではあるんだが。