「誰か教えて。リアは……どうすればリアを助けられるの!?」
藁をもつかむ気持ちで三人に聞いてみる。
「お兄ちゃん。リアさんは、幸せだったって言っていたよ」
「メル!? 待って! 俺は、そういうことを聞きたいんじゃないんだ! どうにかしてリアと、これまで通り一緒に暮らしていく方法を教えて欲しいんだ!」
「お兄ちゃん、ごめん。リアさんからは、魔力のことは聞かされていたの。でも、お兄ちゃんには黙っていて欲しいって。最期まで、いつも通りに過ごしたいからって……」
メルが話の途中で泣き出してしまった。
くそっ! どうしてみんな教えてくれなかったんだ!?
もしかしたら、何か手が打てたかもしれないのに!
「カイちゃん。宿り主の魔力が失われること……これは精霊の寿命でもあるの。カイちゃんは、なぜか魔力の量がすごく多くて、魔力の回復もすさまじいけれど、普通は使った魔力は徐々にしか戻らないのよ」
「リアは、それをわかった上で、俺に毎日食事を用意してくれたりしていたんだ……」
「えぇ。リアちゃんが話していたのは、全て本心よ。リアちゃんはすごく長い時間、ずっと孤独な時を過ごしていたから、カイちゃんに出会えて本当に嬉しかったって。だから、カイちゃん。泣かないで、笑顔でリアちゃんを看取ってあげて」
ちくしょう……俺は異世界へ転生してきたんだ!
女神様から魔法に関するチートな力をもらっているんだ!
それなのに、どうして恩人であるリアを助けることが出来ないんだよっ!
「リアっ!」
「まつでち! パパ……ひとつだけ、ほうほうがあるでち!」
「ディーネ! ほ、本当なのっ!?」
「ほんとうでち。みずのせいれいにきくと、むこーのほうに、きれいないずみがあるでち。そこのみずを、このきにあげると、まりょくがかいふくするでち」
ディーネによると、リアが宿る木の魔力を回復するには、同じように魔力を含む自然の水を与える必要があるらしい。
俺がディーネの力で生み出した水だと、俺の魔力を含んでいるのでダメで、この木と同じく長年自然の魔力を溜めている、泉の水ならば大丈夫なはずだと。
「木の精霊と相性が良いのが水だから、自然の水なら、魔力を回復させられるんだね?」
「そのとおりでち!」
「わかった! メル。リアはどれくらいまで魔力が持つと言っていたの!?」
ディーネの言葉で、リアが何とかなるかもしれないとわかると、突然頭が働きだす。
とにかく、絶対にリアを助けるんだ!
「は、ハッキリとは聞いていないけど、おそらく今日の夜にはもう……」
「今は昼だから、残り数時間で、現時点で見えてすらいない山まで行って、水を汲んで戻って来られればよいんだね?」
「そ、そうだけど……お兄ちゃん。どうするの?」
「わからない! だけど、絶対に何とかしてみせる!」
ハッキリ言って、見えてもいない山に日没までに行って帰って来ることは、かなり難しい。