簡単で分かり易くて、子供でも出来るからね。

 ただ、ディーネとメルがやる時は、俺が傍にいた方が良さそうだけど。

「……っていうのが、ルールなんだ」

「へぇー! たのしそうでち! じゃあ、ディーネはまず、どんなゲームなのか、みてみるでち! というわけで、さいしょはパパとリアにゆずるでち!」

「そうだね。お兄ちゃんとリアさんがしているのを見て、ルールを覚えるね」

 そんなに難しいルールではないんだけど……百聞は一見に如かずと言うし、ディーネとメルの言う通り、まずは見てもらった方が良いかもしれない。

「カイ君。負けないよー!」

「まぁとにかくやってみようか」

 地面にマスを描き、ノエルが作ってくれた石の板でリバーシを始め……気付いた時には薄暗くなっていた。

「か、カイ君! もう一度! もう一度やろっ!」

「メルー! もういっかい、しょうぶでちー!」

「えっと、みんな。もうすっかり陽が落ちかけているからね? カイちゃんも、お腹を空かせていたりしない? あと、ディーネちゃんも水浴びとか……うーん。みんな、おしまいにしなさーい!」

 あ、危なかった。ノエルが止めてくれなければ、完全に陽が落ちて、石が見えなくなるまでやっているところだったかも。

 久しぶりにやるゲームが、こんなにおもしろいとは……しかしこれは、絶対にラヴィに教えちゃダメなやつだな。

 せっかく精霊語の勉強をしようと頑張っているのに、絶対に手が止まる。

 というか、今日の俺たちだって、始めは一セット分しか作っていなかったはずなのに、気付いた時には二セットめが用意されていて、延々していたもんな。

 これでラヴィが来て三セットめが用意されたら、誰も止めなくなるっ!

「か、カイ君。少しだけ待っていてね。お姉ちゃん、大急ぎで何か作るから」

「いや、慌てなくて良いし、別に一食くらい食べなくても大丈夫だからね?」

「ダメ! カイ君にはちゃんとご飯を食べてもらうの!」

 リアの強い要望で夕食をちゃんと食べて、そのまま水浴びを済ませ、リアの木へ。

 明日にはニンジンを収穫して、ラヴィと再会だな……と考えながら就寝し、その翌朝。


「あぁぁぁっ! パパーっ! ニンジン……なくなってるでちーっ!」

 ディーネの大きな声で起こされて畑に行くと、発芽していた芽の三割程の葉っぱが無くなっていた。

 堀に掛かる橋に仕掛けた魔法陣を確認すると、発動した様子が無い。

 魔物が食べたわけではないということなのか?

「あ……鳥か」

「たぶん、そうでち」

「カイちゃん、ごめんなさい。まさか、こんなことになるなんて」

 ノエルが謝ってきたけど、こういったことを想定せずに遊んでいたのは俺だからな。