「パパー! きょうは、ここまででち」

 なんでも、植物を直接成長させるリアの力とは違い、ディーネは水を介して植物を大きくするため、一日二回やると、その植物が腐ってしまうらしい。

 とはいえ、明日には収穫出来るらしいので、それでも十二分に早いけど。

「じゃあ、ニンジンに関して今日出来ることはこれだけかな。あとは……そうだ。堀の仕上げをしよう」

 以前から少しずつメルに薄い鉄板を出してもらい、堀に水を溜められるようにしていたけど、あと二枚分くらいで全て覆えるんだよね。

 というわけで、少しくらいなら無理をしても大丈夫だろうと、最後の二枚をメルに出してもらった。

「ディーネ。水を溜める堀の準備が整ったから、水を入れてくれないかな?」

「わかったでちー!」

 そう言って、ディーネがすごい量の水を出し……うん。この勢いで水が出ても、魔力枯渇が起こりそうな感じはしないな。

 というわけで、遂に堀が完成した。

 とはいえ、そもそも最近はラヴィが言っていた通りで、この周辺がヤバいと認識されているのか、魔物自体が来ないんだけどね。

「堀も完成したし、今日は何をしようかな」

「きょうは、いつものおべんきょーはしないでち?」

「ラヴィが来ていないからね」

 ラヴィのお父さんの話だと、既に精霊石の力は回復しているはずだけど、ニンジン百本と交換ということだからな。

 おそらくラヴィが外出禁止にさせられていて、ものすごく不機嫌になっているような気がする。

「お兄ちゃん。もしかして、ラヴィさんがいないから寂しいの?」

「え? そういうわけじゃないよ。ただ、いつも精霊語を教えてって騒いでいたから、ゆっくり出来るのは久しぶりだなーって思って」

「そうなんだ! じゃあ、メルたんと……ううん。メルたんと、リアさんと遊んでー!」

 リアも一緒に? もちろん構わないんだが、メルは金の精霊だということと、性格的というか年齢的にディーネと一緒に遊びそうな感じがするんだけどな。まぁもちろん構わないんだが。

「メルとリアが一緒に遊べることとなると、何をしようかな」

「ディーネも、いっしょにあそんでほしいでち」

「カイちゃん。ママもいるわよ?」

 うーん。みんな年齢がバラバラだし、リアに至っては行動出来る範囲が限られているのに、この四人と一緒に遊べることか。

 何だろうな。日本だったら、みんなで出来る簡単なゲームがいくつかあるんだけど。

「そうだ! ノエル、こんなのを作れる?」


 ……というわけで、久々にまったりした時間を過ごすため、ノエルに石で表裏のわかる小さな丸い板を沢山作ってもらった。

 そう。日本でおなじみの、リバーシ!