それからメルたちと水浴びをして、リアの木の枝の上へ。
俺も、少しずつだけど色んなことが出来るようになってきて、この世界で暮らしていける自信がついて来たし、頑張っていかなきゃ。
そんなことを考えながら、リアたちと一緒に就寝する。
翌朝からは、再びノエルに指導してもらいながら畝を作っていき、昼を過ぎた頃にようやく畝を作り終えた。
「やったー! ノエル、ありがとう!」
「うふふ。ママは何もしていないわよ。これは、カイちゃんが頑張った成果なんだから。よく頑張ったわね。偉いわ」
そう言って、ノエルが俺の頭を撫でてくる。
うーん。リアやノエルに甘やかされていると、本当に幼児化していそうな気がしてしまうな。
中身は十分大人なんだけどさ。
「じゃあ、次はリアちゃんにもらったニンジンの種撒きね」
「これは何となくわかるよ。指で穴を開けて、そこに種をまくんだよね?」
「んー、概ねそうだとは思うんだけど、リアちゃんに確認しましょうか。植物によって、種の巻き方も違うはずなのよね」
なるほど。昔、小学校で朝顔とかを育てた記憶が薄っすらあって、人差し指でズボッと穴を開けたような気がするんだけど、同じとは限らないか。
というわけで、ノエルの助言に従い、早速リアに聞いてみる。
「ニンジンは、浅くでいいよ。むしろ、穴を掘らなくても良いかも」
「え? そうなの?」
「種をまいて、その上に少しだけ土を被せる感じで良いと思うな」
「そうなんだ。リア、ありがとう」
「えへへ。カイ君、頑張ってね!」
リアにアドバイスをもらい、教えてもらった様に種を撒いていく。
「つぎはディーネのばんでち! さきにリアから、みずのまきかたをきいているでち!」
やっと出番だと言いたげに、ディーネがふわふわと畑の上へ。
ディーネ曰く、優しく水をあげる必要があるそうで、畝の上を移動しながら、水をあげるというので、魔力を使って良いという話をして、俺もディーネと一緒に畑の中を歩くことにした。
「それー! でちー」
ディーネがふわふわ移動しながら畝に水を撒いて行くと、端から順にどんどんニンジンが発芽していく。
「え……もう芽が出るの!?」
「ディーネのおみずに、たっぷりパパのまりょくがふくまれているからでち」
「そういうものなんだ」
リアがやれば一瞬で収穫出来るところまで育つから、それに比べると見劣りするけれど、それでも芽がポンポン出て来るのは見ていて気持ちが良い。
しばらく畑の中を移動し、全ての畝からニンジンの芽が発芽すると、ディーネが俺の背中に抱きついてくる。