さすがに下着は死守したけどね。

「ラヴィ。一緒に服の水を絞って着ようよ?」

「なんで?」

「いや、だって下着裸だし……」

「別にえーやん。街や村やったら、服を着てないと怒られるけど、ここはカイ先生しかおらへんし、ウチは気にせーへんで? それに、普段から一緒に水浴びしてるやん」

 俺が気にするってば。まぁその、水浴びのことを言われると、なにも言い返せないけどさ。

 とりあえず、メルに頼んで細長い棒を出してもらうと、そこに俺とラヴィの服を通して、二人で持ちながら歩く。

 物干し竿を持ちながら移動するという、ちょっとシュールな感じで進んでいると、前を歩くラヴィが再び足を止めた。

「あー、また魔物が来たわ。さっきと同じ種類で、ワイルド・ウルフやな」

「最近は、あんまりあの狼の魔物を見なくなっていたのにね」

「魔物も学習してるんとちゃうかなー? あの木の周りはヤバいって」

「なるほど。来たら追い払うだけで、こっちから魔物を狩ったりはしていないから、あの木に近付かなければ良いって思われているのかも」

 ただ、狼の魔物についてはその通りだけど、鳥はその肉を食料にするため、鳥笛を使って呼び寄せているけどね。

 さて、さっきは水の量が多過ぎて大変なことになったから、次は土だとどうだろうか。

 そんなことを考えながら、魔法陣に何を記すかと考えていると、

「お兄ちゃん! 次はメルたんの番! というか、ディーネちゃんに同じことをしてもらったら、ラヴィさんが寒い! とか言いだして、お兄ちゃんに抱きついて来そうだから却下!」

 メルが叫びながらしがみついてくる。

 メルはラヴィの言葉がわからないはずだけど、雰囲気で察しているようで、しかもあながち外れていない。確かにラヴィは言ってきそうだ。

「カイちゃん。次は魔物が三体みたいだし、ママとメルちゃんとディーネちゃんとで、個別撃破したらどうかしら? それならさっきみたいなことにはならないでしょ?」

「確かにそうだな。魔法陣を三つ作れば良いのか」

「えぇ。ただ、念のために何かあったらママたちが対応出来るようにしておかないといけないけどね」

 ディーネは魔法陣を介さずに力を使う場合、魔物を吹き飛ばすような水の出し方は出来ないそうなので、万が一の対応にはメルが適していると思っていたのだが、ノエルも何とか出来るそうだ。

 というわけで、基本は魔法陣を作って一体ずつ倒し、万が一の場合はメルとノエルが対応するという段取りで、同じ魔法陣を三つ作る。


≪もしも、魔物が上を通ったら、遠くへ吹き飛ばす≫


 作った三つの魔法陣のそれぞれにディーネ、メル、ノエルの力を込めてもらった。

 後は、それぞれの魔法陣の上を、魔物が上手く通過してくれるかどうかだな。