いつもなら、一緒に行きたいとか、危ないからってすごく過保護になったりするのに、今回はやけにすんなり行かせてくれるんだな。
リアよりも年上に見えるノエルが一緒にいるからなのか?
「というわけで、リアちゃんにちゃんと断ったし、早速出発しましょうか」
「わーい! パパとおでかけでちー!」
「お兄ちゃんとお散歩……楽しみっ!」
ノエルが初めてのおつかいに出かける子供を見守るかのように微笑み、ディーネが俺の背中に抱きつき、メルが手を繋いでくる。
結局いつも通りか。
「カイ先生。もう、出発してもえぇんかな?」
「ラヴィ、お待たせ。もう大丈夫だよ」
「さよか。ほな行こか。まぁ言うても、そないに遠くないんやけどな」
ラヴィを先頭に、俺たちも歩きだす。
遺跡があった方向とは真逆だな……と思っていると、リアの木から少し離れたところでノエルが口を開く。
「さて、リアちゃんからこれくらい離れたら大丈夫かしら」
「ん? その言い方は、何か力を使おうとしているの?」
「そういうこと。とはいえ、ママが力を使うにはカイちゃんの魔力が必要だから、まずは何をするか説明するけど、簡単に言うと道を作ろうと思うの」
「道? 所々に草が生えていたり、大きめの石が落ちていたりすることはあるけど、普通に歩けるよ?」
まさかノエルが道路みたいに舗装された道を作ると言っているとも思えないし、一体何をするのだろうか。
仮に舗装された道を作ったとしても、車は勿論、馬車なんかもないから、あんまり意味が無いような気がするんだけど。
「道っていうのは、ママが使うための精霊の通り道……と言えば良いかしら。行きは道を作りながら行く必要はあるけど、帰りは既に精霊の道があるから、すごく早く帰れるわよ」
「なるほど。今日中に帰れるってリアに言ったのは、その道を作るからか」
「その通りよ。というわけで、カイちゃん。精霊の道を作るために魔力をもらうわよ?」
「うん、わかったよ」
そう言うと、ノエルが俺の足を優しく撫でる。
何となく足が光っている様に見えなくもないんだけど、これが道を作る方法なのか?
「カイちゃんが今の状態のまま、普通に歩いてくれれば精霊の道が出来るの。ママは兎耳族さんの村の場所を知っているから、丁度その手前で効果が切れるくらいにしておいたから、カイちゃんは何も気にせずに歩くだけで良いわよ」
ノエルは最年長? なだけあって、力の使い方がすごい。
魔力を貰うために説明してくれたけど、そうでなければ何も知らずに精霊の道ができあがっていたと思う。
「ディーネだって、みずのせいれいとおはなしして、ばしょをしってるでち」