「待って、待って。ちょっと何を言ってるかわからへんねけど」

「と、とりあえず、油で揚げると、水で煮るのと全然違う調理になるんだ」

 何度かフライパンを使った際に油を引いていて、その時はラヴィから何も言われなかったから、油のことは知っているみたいだけど、その油を使って揚げるっていうのは知らないのか。

 でも、油のことを鍋と食材がくっつかないようにするための物としか認識していなかったら、揚げるっていう調理方法には思い至らないのかな。

 そんなことを考えながらも、鳥のモモ肉がカラッと揚がったので、早速取り出す。

 少し冷ましている間に、予めリアに出してもらっておいたレモンをカットし、キャベツを千切りにして……出来上がりっ!

「ラヴィ、出来たよ」

「……何か、めっちゃ茶色いんやけど。カイ先生、これ焦げてるんとちゃう?」

「いいから、食べてみてよ。あ、レモンを絞って食べても美味しいよ」

 というわけで、まずは俺が一口……あぁぁ、からあげだぁぁぁっ!

 もちろん、下味が塩しかないので、日本で食べていたような唐揚げとは違うけど、この外がカリとた食感で、でも中はジューシーで……ひとまず、揚げ物としては十分成功な気がする。

「な、何やこれはっ!? めちゃくちゃ美味しい……カイ先生。ウチと結婚して! そして、毎日美味しいごはんを作って!」

「いや、飛躍し過ぎだから。とりあえず、色々と料理は作れそうだね」

 からあげが美味しいのはわかるけど、それで結婚っていうのはどうかと思うけど。

「お、お兄ちゃん!? 言葉はわからないけど、兎耳族の人が、お兄ちゃんに変なことを言わなかった!?」

「カイ君。私もメルちゃんと同じで、ラヴィさんの言葉はわからないけど、何か許しがたい話が出た気がするのよね」

「ふふっ、カイちゃんはママが守るわよっ!」

 ラヴィの言葉を聞いたメルとリアとノエルが、何を思ったのか、なぜか突然抱きついて来た。

 とりあえず、ラヴィは唐揚げの美味しさに感動しただけで、変な意味はないんだって。

 それよりリアが小麦粉を作ることが出来るとわかったので、パン……は作り方を知らないから、うどんっぽい麺とか、お好み焼きなら作れるかも。

 そんなことを考え、この異世界での食生活をさらに良くしていこうと、日本で時々行っていた自炊について思い出すことにした。