まぁそもそもリアがいきなりココナッツを出したりして、地形や気候を完全無視するから、それが凄いんだけどね。

 ひとまず、目的の枕を手に入れたので、ラヴィの本から一枚ページをもらい、夜に試してみる。

 翌朝になって枕の下に置いておいた紙を見てみると、綺麗な字で俺のスキルについて書かれていた。


『夏生さんのスキルは、魔法開発スキルです。新たに魔法を新たに作ったり、存在する魔法を変更したり、機能を追加したりできるスキルです』


 思いっきり日本語だし、ラヴィがこっそり書いたっていうのも不可能なので、やっぱり女神様が書いてくれたのだろう。

 魔法開発スキルか……ちょっとワクワクしてきてた。


 ◇◆◇


 俺のスキルが、魔法開発スキルだと判明して、数日。

「カイ先生―! 今日は中々の獲物やでー! ほら、めっちゃ大きいやろー! じゃあ、いつものように捌いとくなー!」

 そう言って、ラヴィが指さした大きな鳥を、腰に刺した短剣で、手際よくスパスパ捌いていく。

 少しすると、丁寧に血抜きされ、羽なども処理された、スーパーに売っているような鳥肉がラヴィの手に。

「ラヴィ、ありがとう。じゃあ俺は、明日の罠を作ってくるよ」

「あ、ちょっと待って! ウチも一緒に行く!」

 そう言って、ラヴィが切ったお肉を大きな葉に包み、かまどの近くにそれを置いて、俺のところへやって来た。

 ある程度リアから離れていれば何処でも良いので、適当な場所で足を止めると、魔法陣を作ることに。


≪もしも、鳥が上を通ったら、串刺しにする≫


 これが試行錯誤の上で作った魔法陣で、この上を鳥類が通過すると、メルの力が発動する。

 ここに行きつくまでろいろあって、メルに弓矢を作ってもらったものの、俺が不器用すぎて鳥に命中しないし、危ないからダメ! と、リアから怒られたりした。

 ディーネに水を弾のように飛ばしてもらうことを考え、周囲を水浸しにして、ノエルに目が笑っていない笑みを向けられたりもした。

 この魔法陣には自分でも怖いことを書いていると思うけど、いろんな失敗を経て、従来のラヴィの方法より簡単で、かつ獲物を確実に仕留めることが出来るようになったんだよね。

「お兄ちゃん。じゃあ、魔力をもらうねー! いっくよー!」

 その上、この魔法陣に協力してくれているメルがすごく乗り気で、もっと作って欲しいとねだってくるので、今ではすっかり鳥を確保するのは俺の担当となってしまった。