「そっか。一人で生きて来たんやったら、安心して眠られへん時もあるもんな。せや……カイ先生は、木の上が落ち着くって言ってたけど、これからは土の中でウチと一緒に寝ーへん? その方が安心出来るんとちゃう?」
「ま、待って! 大丈夫だから。木の上にリアもいるし、今は不安を感じることもないよ」
「うーん。無理せんでえーんやで? お姉ちゃんに頼ってえーねんからね?」
そう言って、ラヴィが抱きしめてきたけど、そういう話ではないんだ。
ただスキルの確認方法を知りたいんだけどな。
「あ! そういえば、一つ思い出したわ! スキルを確認する方法」
「えっ!? どうやるの!?」
「寝るときに、枕の下に紙を置いておくと、女神様がスキルについて書いてくれるらしいで……ウチは試したことがないけど」
な、なんだか女の子の占いみたいだけど、今はそれしか術がなさそうなので、仕方ないか。
「……って、枕がないから、これはリアにお願いしないといけないかな」
ラヴィに教わった方法を試す為、リアに袋状の布を作ってもらい、落ち葉を拾って詰める。
そのあと、メルに針を、リアに糸を作ってもらったので、詰めた葉っぱが出ないように、枕を縫えば……痛っ!
「カイ先生、大丈夫? 凄い魔法陣を作れるけど、意外に不器用やねんな……ウチに貸してみ? やったげるわ」
そう言って、ラヴィがあっさり枕を縫って……おぉ、メチャクチャ上手だ。
「ラヴィ、すごい! ありがとう!」
「どーいたしまして。ここへ来るまでは一人で暮らしていたし、一通りの家事は出来るねん。それより、カイ先生の指から血が出てるやん。何か止血するもの……とりあえず、消毒やな」
「ラヴィ!? なにを……」
「ふひほふはへへひふはへ」
おそらくラヴィは、指を咥えているだけ……と言っているようだけど、子供扱いが過ぎるってば。
「ラヴィ、それなら薬草を持っているから大丈夫だよ」
「あ、そうなんや。なんや、いらんことしてもーたね」
「えっと、気持ちは嬉しいよ?」
指を離したラヴィに一応お礼を言いつつ、以前リアが持たせてくれた薬草を取り出す。それを指に巻いてみると、すぐさま痛みが消えた。
リアからは、絞って傷口に塗るように言われていたけど、針で血が出た程度なので、巻くだけで効果が出たみたいだ。
「え? カイ先生、もう血が止まったん!?」
「うん。傷口も治ったよ」
「いや、幾ら薬草って言っても早過ぎ……って、待って! カイ先生、これってなんていう薬草?」
「確か……冬緑草だったかな?」
「冬緑草!? それって、その名の通り冬にしか採られへん薬草で、効果も高い超高級品やのに。いや、やっぱりカイ先生は凄すぎるわ」
いやその、超高級品っていうのを知らなかったんだけど。