「うん。そうなるように変えたからね」
「変えたからね……や、あらへんわっ! こんなん前代未聞やで!? 新たな精霊石に効果を設定するんやったらまだしも、既に定められた精霊石の効果を変更するなんて……無茶苦茶やわっ!」
ラヴィが頭を抱えてしゃがみ込んでしまったけど……そ、そんなに変なことをしたのかな?
「けど、パネルっていうか、精霊石の魔法陣を書き替えただけだよ?」
「精霊石の魔法陣……って何なん?」
「え? 精霊石の周りに半透明の板みたいなのがあるでしょ? あれのことだよ」
「そんなん無いけど?」
ラヴィが精霊石の火を止め、腕輪を拾い上げると、そこから精霊石を取り外す。
俺にはラヴィが持っている精霊石の周りに、半透明のパネルが見えていて、そこに日本語で発動条件が書かれているんだけど……もしかして、これは見えていないってこと?
「ラヴィ。ほら、ここ。ここにあるよね?」
「いや、だから何も無いってば」
どういうことだろうか。
半透明とはいえ、はっきりパネルが見えているし、日本語の文字が読めないにしても、何か書かれている……くらいはわかると思うんだけど。
「あっ! もしかして、カイ先生のスキルとちゃうん? 精霊石の効果を知ることが出来るスキルとか。……あ、でもスキルは一人一つまでやし、カイ先生のスキルは魔法陣を作るっていうスキルか」
うーん。俺のスキルは魔法陣を作るスキルだと思っていたけど、これもディーネとの会話でそうだろうって話になっただけなんだよね。
あの女神様は、俺にどんなスキルを与えてくれると言っていたっけ?
確か、自動翻訳がおまけで、魔法に関するレアなスキルを授けてくれると言っていた気がする。あと、前世の俺に適したスキルとも言っていた。
俺の前世はシステムエンジニアで、アプリを作ったり修正したりしていたけど……魔法を作るだけではなくて、修正も出来るスキルってことなのか!?
でも、ラヴィには見えない魔法陣――ソースコードを書いたり、直したりするスキルだとすると、確かにしっくりくるな。
「スキルって言葉が出たけど、ラヴィはどんなスキルを授かったの?」
「ウチ? ふっふっふー。何と、気配を消すスキルやで! ピンチになったら、すぐに逃げるから! ……って、こんなスキルやなくて、魔法に関するスキルが良かったわ」
なるほど。でも、言われてみたら、ラヴィが初めて来たとき、結構近くに来るまで気付かなかったのは、そのスキルのせいなのかも。
しかし……魔法を作るスキルか。エンジニア気質というか、いろいろ試したくなってしまうな。
時間はたっぷりあるし、どんなことが出来るのか、いろいろと調べてみるか。
「ラヴィ。自身のスキルってどうやったらわかるの?」
「どうやったら……って、十歳の誕生日に、女神様が夢に現れたやろ? で、こんなスキルやでって教えてくれたはずやけど」
「えーっと、いろいろあって、その夢を見ていないんだよ」
さすがに、十歳くらいの姿で転生してきたからとはいえないよね。

