要はコンロみたいな使い方をするようなので、一旦ラヴィを止める。
「ラヴィ。この鳥、俺に任せてくれないかな? ちょっとやってみたいことがあるんだ」
「別に構わへんけど……何をするん?」
「ちょっと料理をね」
といっても、たまにしか自炊をしていなかったから、めちゃくちゃ料理が得意というわけでもないけど、ただ丸焼きにするだけの料理よりは、美味しく出来ると思う。
というわけで、鳥のモモ肉を切り落として、塩をふりかけ、下ごしらえが完了した。
次はラヴィの腕輪の上にフライパンを乗せ、リアに作ってもらったオリーブオイルを少し入れると、皮を下にしてモモ肉を置く。
「ラヴィ。これって火力は調整出来るの?」
「いや、そんなん無理に決まってるやん。精霊石は予め決められた効果しか発動せーへんで?」
「そうか……まぁ火から遠ざけて火力調整しようか」
というわけで、一旦フライパンを腕輪から離すと、まずはラヴィに火の精霊石を発動してもらう。
「ほな、いくで。≪ファイア≫」
ラヴィの言葉に反応し、腕輪に取り付けられた精霊石から、半透明の赤色のパネルが出現して、腕輪から五センチ程離れた所に大きな炎が生み出される。
なるほど。腕輪の上にフライパンを置くのはダメか。
ちょっと大変だけど、手でフライパンを支えながら火に近付けると、日本の家庭用ガスコンロの強火よりも、ちょっと強い感じになっている。使ったことはないけど、業務用コンロみたいなイメージだろうか。
ひとまず、フライパンを腕輪から遠ざけ、中火イメージでお肉を焼く。
「カイ先生。なんでそんなに火から鍋を遠ざけるん? 焼かれへんで?」
「えっと、弱火でじっくり焼きたくてね」
「うーん。よくわからんけど、火が強い方がよく焼けるで?」
「そうなんだけど、中に火が通る前に、外側が焦げちゃうからね」
お肉に半分くらいまで火が通ったら、ひっくり返して再び中火でじっくり焼く。
ラヴィがずっと首を傾げているけど、そのまま焼き続けると……皮はパリっとして、肉は中まで火が通ってジューシーな焼き加減に。
メルに作ってもらったお皿に乗せて、食べやすいサイズにカットしたら、出来上がりっ!
「カイ先生が焼いたお肉……う、うわっ! 何やこれっ!? めちゃくちゃ美味しいんやけどっ!」
「我ながら、良く焼けたと思うよ。……うん、美味しい!」
「あの、鍋を遠ざけて、長ーく焼いたから!? いや、ホンマに美味しいわ」
「そうそう。その通りなんだけど、それをするために、リアとメルに協力してもらったんだよ。二人の協力がなかったら、この焼き方は出来なかったかな」
ただ、フライパンを持ち続けるのが大変だったから……そうだ。ノエルに言ってかまどを作ってもらえないかな?
下にラヴィの腕輪を置いて、火が丁度良くなる高さに出来ると良いよね。
で、火力調整はフライパンを持ち上げるんじゃなくて、腕輪の高さを変えるようにして。