『へぇー、そうなんや。じゃあ、ここで準備して待ってるなー』
ラヴィを待たせたまま、一旦昨日ノエルに出してもらった岩塩の所へ。
昨日切り出した拳大の岩塩を置いてあるので、それを手にし……ふと気付く。
どうせなら、もうひと手間加えたいので、リアのところへ。
「リア。ちょっとお願いがあるんだけど、オリーブって出せる?」
「大丈夫よ。カイ君、そのままで良いの? それとも何か加工した方が良いのかな?」
「えっ!? 加工も出来るの!? じゃあ、オリーブは絞ってオイルが欲いしんだけど」
「んー、絞らなくてもオイルの部分があれば良い感じなのかな?」
「そう! その通りなんだけど、出来る?」
「もちろん! 任せてっ!」
そう言うと、リアが竹筒みたいな容器に、オリーブオイルを注いでくれた。
「リア、ありがとうっ!」
「ふふっ、どういたしまして。私は、カイ君の喜ぶ姿が見られれば嬉しいもの」
そう言いながら、リアが頭を撫で、子供扱いしてくる。
「と、とりあえずラヴィを待たせているから、行ってくるね! すぐ戻って来るから!」
「あ……カイ君! もぉっ!」
リアが頬を膨らませていたけど、塩と油が手に入ったし、せっかくなので調理を……って、肝心な物を忘れていた。
堀を出たところでメルに声を掛ける。
「メル。鉄か銅で、こういう調理器具を作ってもらいたいんだ」
「お兄ちゃん。その地面に描いてもらった物なら作れるけど……そのままだと、持つところがすごく熱くなっちゃうんじゃないかなー?」
「あ……そっか」
「そこだけ、熱が伝わり難い他の金属にしておくね。本当はリアさんの木が良いんだけど、あんまり無理はさせられないからね」
言われてみれば、日本で使っていた物も、大抵は持つところが木だったり、プラスチックだったりしたような気がする。
だけどメルの言う通り、リアは金の精霊であるメルと相性が良くないからな。
熱が伝わりにくい金属は、日本だとステンレスとかだろうか。メルがどんな金属を出すかはわからないが、そこはお任せすることにしよう。
「じゃあ、お兄ちゃん。魔力をもらうよー?」
「あぁ、頼むよ」
「うん。さっきのを作るねー! えーいっ!」
メルの言葉と共に、俺が思い描いていた物とほとんど同じ物――フライパンが現れた。
煮てよし、焼いてよし、揚げてよしで、さらに最悪の場合は武器として使うことも出来る。まぁそれは極力やりたくはないけどね。
「ラヴィ、お待たせ……って、それは?」
「これ? もちろん、鳥を丸焼きにするための準備やけど?」
「その腕輪が……あ、精霊石か」
戻って来ると、ラヴィが地面に自分の腕輪を置いて、その上に鳥を乗せていた。何をしているのかと思ったけど、火の精霊石の力を使って焼くのか。