メルが俺の要望を聞いて、岩塩を削るためのおろし金を作ってくれた。
早速、おろし金と岩塩を持ってラヴィの所へ戻ると、まずは自分の肉で試してみる。
「カイ先生ー。それはー?」
「塩だよ。ちょっと待っていてね」
ある程度削ったら、お肉に振りかけ……旨っ!
塩を振りかけただけなのに、味が引き立つというか、こんなに味が変わるのか。
「ラヴィも、食べてごらんよ」
ラヴィのお肉にも削った塩を振りかけてあげると、一口食べてラヴィが目を丸くする。
「わっ! な、何これっ!? めちゃくちゃ美味しいんやけどっ!」
「あっちに土の精霊が出してくれた、岩塩っていうのがあるんだけど、それを削ったものだよ」
「知らんかった……岩って、美味しいんや」
「いや、それは違うからね? 岩は食べられないよ!? 岩の中に、こういう調味料として使える種類があるだけだから、そこは間違えちゃダメだよ?」
そこからは、二人ですごい勢いで鳥肉を食べ……気付いた時には、かなりの量があったはずなのに、二人で完食していた。
とはいえ、内臓や骨なんかは食べていないけど。
食べられなかった部位の匂いで魔物が寄って来ないようにと、ノエルの勧めで土の中に埋めて、食事を終える。
ただ普段と比べてかなり沢山食べてしまい、お腹がいっぱいなので、草むらで寝転んでウトウトしていると……気付いた時には夕方だった。
しかも、いつの間にかラヴィが俺に抱きつくようにして眠っていて……さすがに寝相が悪すぎじゃないか!?
いや、ラヴィだけじゃないな。
他にも何かが抱きついて……いや、メルも何をしているんだよ。
俺にくっついて眠るラヴィとメルをどうしようかと考えていると、ふよふよと浮かぶディーネが近付いて来た。
「パパー、おはよーでち」
「ディーネ、おはよう。ごめんね、眠ってしまって」
「だいじょーぶでち。まものは、こなかったでち」
「見張りをしていてくれていたんだね。ありがとう」
「そうでち。というか、ねていたのはパパとラヴィだけでち。メルは、おきてるでち」
「えっ!?」
メルが起きているというディーネの言葉で、慌ててメルに目を向けると、薄目を開けているのか、ビクッと身体を震わせる。
「メル……何をしているの?」
「え、えーっと、お兄ちゃんがラヴィちゃんと一緒にご飯を食べて、メルたんと遊んでくれないから……ふ、不貞寝?」
メルは食事中に力を使ってもらったんだけどな……と、ディーネたちと話していたからか、ラヴィも目を覚ます。
「うわっ! もう夕方やん! しもたー! あまりにもカイ先生のご飯が美味し過ぎて食べ過ぎてもたー!」