おぉー! なんだか一気にファンタジーっぽくなって来た。
「とりあえず、これを食べ終えてからね」
「おっけー! ほな、ウチもいただこーっと」
ラヴィと一緒に、しっかり中まで火が通った鳥肉を美味しくいただき……えっと、こんなことを言ったら怒られそうだけど、最初は久しぶりのお肉で感動していたものの、ぶっちゃけ味が無いね。
火を通しただけで、何の味付けもされていないササミをかじっている気がする。
「塩が欲しいかな……」
「カイちゃん。お塩が欲しいの? ママが出してあげよっか?」
「え? ノエルは塩が出せるの?」
「もちろん。ただ、ちょっとカイちゃんにお手伝いしてもらわないといけないけど」
「するする! 何でも手伝うよ! 是非、お願いっ!」
ポツリと呟いてしまったのを聞いたノエルが、塩を出してくれると言うので、思わず立ち上がって、その手を握る。
塩があると無いとで、食事の味が全然違うもんね。
ラヴィが来る前に食べていた、生野菜サラダも味が変わるだろうし、もっと早く言っておけば良かったな。
「カイ先生? 急に立ち上がってどないしたん?」
「ちょっとだけ待っていて。このお肉の味を少し変えようと思うんだ』
「味を変える? 何か香草でも出すん?」
確かに香草もありかも。よく、料理に使うよね。
だけど、まずは塩かな。
「むー……お兄ちゃんが、ノエルさんの手をずっと握ってるー!」
「ふふっ。カイちゃんはママにお塩を出して欲しいのよねー」
「ノエルさん。それなら早く出してよー!」
「はいはい。じゃあ、カイちゃん。リアちゃんから少し離れましょうか。魔力をもらうわよー」
木の精霊の力の影響を受けないようにするためか、ノエルが俺を連れてリアから離れ、堀の外側へ。
それから、俺の魔力を使い……一抱え程ある岩を生み出した。
「え? 岩?」
「そう。岩塩よ。これを削れば、お塩になるわよ」
「なるほど。そういうことなら頑張るよ」
メルに以前作ってもらったペティナイフを取り出すと、カリカリと少しずつ岩塩を削っていく。
何とか、拳大の岩塩を切り出すことが出来たので、今度はメルの番だ。
「メル。ちょっと作ってもらいたい物があるんだ」
この岩塩を使うために作ってもらいたい調理器具について説明する。
このナイフより少し大きいけど、ノエル曰く、それくらいならリアにも影響がないだろうという話に。
「じゃあ、お兄ちゃんのために、メルたん頑張るねー! えーいっ!」