そんなことを考えていると、俺の顔をジッと見つめていたラヴィが、突然立ち上がる。
「よっしゃ! ほな、ウチが美味しい鳥料理を食べさせたげるわ! ちょっと待っててや!」
「えっ!? 鳥料理!? 確かに時々飛んでいるのは見かけるけど、ものすごく高い所を飛んでいるから、どうやって……って、ラヴィー!」
残念ながら、止めようとしたものの、ラヴィがそのまま何処かへ走り出してしまった。
「カイ君。ラヴィさんは突然何処へ行っちゃったの?」
「鶏料理を作るって言っていたけど……」
「うーんと、あの感じだと、作って来ちゃうよね?」
「たぶんね。どうやって鳥を捕らえたり、調理したりするかはわからないけど」
「んー……とりあえず、準備はしておこうかな」
そう言って、リアが見知らぬ植物を生やし始めた。
リアは一体、なんの準備をしているのだろうか。
「リア。それは?」
「これ? こっちは猫手草っていう草で、腹痛に効く薬草なの。あと、こっちは解毒効果がある毒消し草で……」
「ま、待って。準備って、そっち系の話なのっ!?」
やっぱりラヴィが俺に食べさせようとしているのは鳥の魔物とかで、食べると危険ってことなの!? だから、事前に薬草を準備しているってこと!?
悪いけど、そんな危険を冒してまで食べたくないからね!?
日本だと、何かあれば救急車を呼んで病院へ行くけど、ここにはそんなの無いわけだしさ。
というか、リアが薬草を用意しだして気付いたけど、ラヴィは生の鳥肉を食べさせるつもりなの!? それは確実に死ぬよ!? いや、死ぬまでいかなかったとしても、大変なことになるからね!?
鶏肉と豚肉は怖いんだって。
いやまぁ、生で食べられる鶏肉もあるけど、あれはものすごく厳重な衛生管理の下で……
「カイ先生、お待たせー! ウチの手料理やで! 嬉しいやろ? 遠慮せずに食べてやー!」
って、ラヴィが戻って来たーっ!
ひとまずリアからもらった毒消し草を、前にもらった薬草と一緒に腰の包みへ入れておく。
「ラヴィ。随分と早いけど……って、あれ!? これは、鳥の丸焼き!?」
「せやでー。この鳥笛を使って、飛んでる鳥を呼び寄せるやろ? で、降りて来た所を短剣で仕留めるねん」
「そこは魔法じゃないんだ」
「いや、近くにおるんやから、短剣で十分やん。ただの鳥やし」
うーん。そういうものなのか。
そんなことを考えながらも、クリスマスのシーンを描いた漫画に出て来るような、まんま七面鳥の丸焼きみたいな料理を前に、思わず涎が出そうになってしまう。
そんな俺に気付いたのか、ラヴィが短剣でお肉を切り分け、差し出してくれた。
メルが作ってくれたナイフとフォークで一口サイズにカットし、久々過ぎるお肉を口へ運ぶ。
「わぁ、美味しい!」
「せやろー! カイ先生、後で鳥笛の使い方を教えてあげるから、一緒に狩りに行こーやー!」