「パパー。えっとねー、ディーネたちはパパとまりょくてきにつながっているからー、なんとなく、かんがえていることが、わかるでち」

「えっ!? そうなの!?」

「でも、あくまでなんとなくでち。でも、パパがディーネのことを、すっごくだいじにしてくれているのは、わかるでちー!」

 知らなかった。俺から魔力をもらっている精霊たちは、何となくでも、考えていることがわかると、もっと早く教えて欲しかったな。

 まぁ俺がディーネのことを……というか、メルもリアもだけど、大切にしていることはその通りだけどさ。

「えぇぇっ!? そうなのっ!? じゃあ、カイ君から魔力をもらっていたら、カイ君が私のことをどう思っているのかがわかるのっ!? 気になる……」

 そう言って、リアが俺に近付くと、俺の傍にいたノエルが、スッと後ろへ下がる。

 何だろうと思ったところで、精霊の属性の話を思い出した。

 土の精霊は木の精霊と相性が悪いんだったな。

 精霊たちの相性についてまとめると、土は木が苦手で、木は金が苦手。金は火が苦手で、火は水が苦手。そして水は土が苦手……と。

 だけど、俺から魔力をもらっている精霊同士の相性は気にしなくて良いそうなので、土と木、木と金だけを気を付ければ良いってことか。

「あれ? メルが小さいから、リアは平気だって言っていたよね? でも大きなリアがノエルの傍で力を使うと、どうなっちゃうの?」

「それはね。リアちゃんが悪いわけではないんだけど、木の精霊は土から栄養を取っちゃう……つまり、ママの元気が無くなっちゃうのよ」

 そう言って、ノエルが少し悲しそうな表情を浮かべる。

 当然ながら、リアもノエルも互いに嫌い合っているわけではない。

 だけど、それが精霊の性質なので、どうしようもないのだろう。

 精霊の力は凄いけど、なんでもできるわけではなくて、自然のルールに則って……って、魔物対策のことを忘れてたっ!

「ディーネ。ノエルが作ってくれた堀を水で満たすことは出来る?」

「んー。できるといえば、できるでち。でも、オススメしないでち」

「そうなの?」

「そうでち。つちとみずは、あいしょうがわるいでち。メルのちからで、きんぞくをだしてからのほうが、よいでち」

 ディーネとノエルは同じ魔力を使っているから、精霊として互いに干渉する事はないけれど、精霊の力で具現化された水や土は、本来の精霊のルールに影響されるそうだ。

 ややこしいけど、土と水の相性が悪いから、水を注ぐならメルの力――金属でノエルが作った堀を覆ってからにした方がよいらしい。

 とはいえ、堀の内側を全て金属で覆うとなると、相応の魔力が必要となり、以前に遺跡で起こったように、気を失いかねない。

 というわけで、しばらくは水を入れず、メルの力で鉄板を少しずつ出していくことにした。

「お兄ちゃん。ここに、鉄の板を出すの?」