どうしてそんなことになるんだよっ!

「リア! どうすれば、メルを助けられる!? 俺の魔力が必要なら、いくらでもメルがもらってくれて良い! 俺はメルに、消えて欲しくないっ!」

「……私は呼び出された経験が無いからわからないけど、カイ君がメルちゃんに魔力を渡すというか、メルちゃんの中に魔力を送ってあげれば良いと思うの」

「そうすれば、メルは助かるんだな!?」

「おそらくだけど……」

「わかった! すぐにやろう!」

 今すぐ何をすべきかはわかったのだが……魔力を送るってどうやるんだ!?

いつもは、ディーネやメルが俺の魔力をもらってくれるから、こっちから魔力を送るという方法がわからない。

だけど、わからないと言う時間すらも惜しい。

魔力を送る、魔力を送る……そもそも魔力って何なんだ!?

リアは作物を出す時に、手を前に突き出していた。……魔力は手から出るものなのか!?

「メルっ! 俺の魔力を使って! メルっ!」

両手でメルの小さな手を握りしめながら、助かって欲しいと祈る。

だけど、段々とメルの存在が希薄になっていくような気がしてしまう。

「メルっ! お願いっ! 消えないでっ!」

メルがどこかへ行ってしまわないようにと、その小さな身体をぎゅっと強く抱きしめる。

どれほどの間、そうしていたかは分からないけれど、ずっとメルを抱きしめていると、小さな手が俺の身体に触れた気がした。

「メルっ!」

「お兄ちゃん……魔力、ありがとう。もう、大丈夫だよ」

「メル……よかった!」

嬉しさのあまり、しばらくメルを抱きしめていると……あれ? メルの身体が熱くなってきた気がする。

「か、カイ君っ! メルちゃんの顔が真っ赤だよっ!」

「えぇっ!? メルっ! メルーっ!」

「パパっ! メルにわたすまりょくが、おおすぎるでち! メルからはなれるでち!」

リアとディーネの指摘で慌てて身体を離すと、耳まで赤く染めたメルが上目遣いで俺を見つめてくる。

 前にもディーネに指摘されたが、どうやら俺は普通の人よりも、桁外れに魔力の量が多過ぎるので、メルが必要とする何倍もの魔力を送ってしまったようだ。

「お兄ちゃん。メルたん、お兄ちゃんに、ぎゅーってしてもらうの好きかも」

 メルが抱きしめられるのが好きというのは、ハグによって魔力が渡されるからだろうか。

「パパー。メルは、もうだいじょーぶでち。メルのなかに、パパのまりょくが、たくさんあるでち」

 よかった。無我夢中で、自分でも何をどうしたのかはわからないけれど、ディーネによるともう心配ないらしい。