ひとまずメルを制して、考え込んでいると、リアが目を覚ます。
「ん……おはよ。あれ? みんな早いね……って、カイ君。難しい顔をしてどうしたの? 何か怖い夢でも見たの?」
俺がメルに言ったことと同じことを言われてしまったが、一旦それは置いといて、先程起こったことをリアに説明する。
「うぅ……あれはカイ君のために生み出したのに! ……けど、今まで魔物なんて殆ど現れなかったのに、どうしてかしら?」
「これまでは、リアさんだけだったんだよね? だから、果物とかを出す必要もなかった。けどお兄ちゃんが来て、食べ物を出すようになったから、魔物も来るようになった……とか?」
「あー……メルちゃんの言う通りかも。リアだけなら、作物を出す必要はないもんね」
つまり、俺が来たことによって、魔物が来るようになってしまったというわけか。
ひとまずリアに地上へ降ろしてもらい、どうすべきかと考え……ふと思いつく。
「そうだ! 昨日やろうとしていたことで、解決に繋がるかも!」
「カイ君? 何をするの?」
「あのね、魔法陣っていうのを作ろうと思っているんだ」
昨日、遺跡の中で見つけた魔法陣は、俺の魔力を力の元とするディーネやメルであれば、作れる。というか、実際ディーネの力を使った魔法陣を作ったからね。
あれを応用して、魔物だけを追い払う罠を作るんだ!
「確か、最初にターゲットだったよね。……こんな感じかな?」
≪もしも、魔物が触れたら、遠くへ吹き飛ばす≫
リアの木から少し離れた地面に、日本語でこんな文章を書き、ディーネを呼んで力を込めてもらう。
「まかせるでちー!」
ディーネが力を込め、先程文字を書いたところが水色の半透明のパネルに変わったので、無事に魔法陣が出来上がったんだけど、大きさが直径一メートル程の円だ。
「……これ、あと何個作らないといけないんだろ?」
この魔法陣の大きさだと、リアの木の周辺に生やした植物を囲うようにして一周するためには、かなりの数を作らなければならない。
「ディーネはがんばれるでちよ?」
「メルたんも協力するよー!」
ディーネもメルも力を貸すと言ってくれているし……頑張るか。
先程作った魔法陣の横に、次の魔法陣を作ろうとしたところで、リアから待ったがかかる。
「カイ君。それは大変だよ」
「だけど、何か対策をしないと、また魔物が来てしまうよ?」
「そうだけど、それだとカイ君が大変だから、私に任せて!」
一体どうするのだろうかと思っていると、リアの木の周辺に、細い木が一定間隔で次々に生えてくる。
生えて来た木は、いずれも高さが一メートル程度あり、細かい枝から緑の葉っぱが沢山生えていた。