「えへへー、良かったー!」
リアの次はディーネだな。ひとまず、どんな感じになるのか確認したいと伝えると、早速水を出してくれる。
「いくでちー! えーいっ!」
ディーネが浴槽の八割くらいまで水を注いでくれたのだが……うん。遺跡で起きたような眩暈などは起こらない。
ということは、メル自身が言っていた通り、金の精霊の力を行使するには、かなり大量の魔力を要するということか。
となると、メルに包丁や鍋なんかを出してもらうのは、明日の朝かな。
まぁそもそも火がダメだから、鍋を作るのはメルがここの環境に慣れてからということになるけど。
そんなことを考えながらも、せっかくリアとディーネが水浴び出来るようにしてくれたので、早速入ってみる事にした。
「……って、リア。何か囲いみたいなのは出せないかな?」
「ん? どういうのが必要なのかな?」
精霊は風呂に入らないから、浴槽だけじゃなくて、周囲の囲いとか、脱衣所とかの説明をして、全く同じというわけではないけれど、脱いだ服を置く棚兼囲いを作ってくれた。
「リア、ありがとう」
「どういたしまして。けど、カイ君の様子が全く見えないのは怖いから、棚は低めにしてるからね」
リアの位置――大きな木と浴槽の間にお腹位までの棚を作ってもらったので、服を脱いで早速浴槽へ。
子供の身体でメルをおんぶしながら歩き、汗をかいているからね。
「ふぅ……生き返るー」
風呂というより、真夏のプールかな。泳げる程広くはないけど、厳しい日差しの下では、これでも十分気持ち良い。
「やっぱり、みずあびはよいでち。このあたりは、あつすぎるでち」
「そうだね……って、ディーネもはいるの?」
「えっ!? ダメだったでち? ディーネもみずあびしたいでち」
「いやまぁ、ディーネならいっか」
「ありがとうでちー!」
いつの間にかディーネも一緒に入っていたけど、水の精霊だから水が好きなんだろうし、大丈夫なのだろう。
ただ、よく見たらディーネの格好が幼児用の水着みたいなのになっていた。
精霊も着替えるんだな。
「じゃあ、私も……」
「いや、リアはダメだよ。というか、脱ごうとしないでよっ!」
「えぇっ!? ディーネちゃんは入っているのに!?」
「ディーネとリアは年齢が違うよね!?」