ディーネの言葉に了承すると、先程文字を書いたところが水色の半透明のパネルに変わる。

「おぉー! 浮かんでいるパネルと同じになった! ということは、俺のスキルは魔法陣を作るスキルってことなのかな?」

「そうかもしれないでち」

「じゃあ、ちゃんと動くかテストしてみるよ」

 日本にいた頃は、システムエンジニアとしてプログラムを作っていたので、作ったプログラムはテストをする癖があるというか、確認せずにはいられず、先程のパネルに触れてみる。

 その直後、パネルから水が溢れ出し……って、多いっ! 少しの水って書いたのにっ!

「ディーネっ! これ、止められないのっ!?」

「わ、わからないでちーっ!」

「マズいっ! 立っていられない……というか、流されるっ!」

 魔法陣の書き方が誤っていて、≪少し≫という修飾語が正しく機能していないのか、大量の水に流され、どんどん階段を下りてしまう。

 幸い、電撃とか麻痺とかって書かれていたパネルには触れていないものの、光が届かないところまでは行きたくない!

「パパー! よこに、あながあるでち!」

「くっ! ……ディーネ! 少しの間で良いから、上に向かって勢いよく水を出して!」

「え? わ、わかったでち! えーいっ!」

 ディーネが出した水と、流れ落ちる水がぶつかり合っている間に、急いで横穴へ。

 少し高い位置にあり、水も入って来ないようなので、あの魔法陣の効果が切れるまで待つことにした。

「ディーネ、ありがとう。助かったよ。しかし……この大量の水も、俺の魔力なんだよね?」

「そうでち。でも、さっきのまほーじんへ、ちからをこめたときに、まりょくをもらっているから、いまはもらっていないでち。あと、なぜかはわからないでちが、まほーじんだと、ディーネがこめたちからより、つよいこうかになるみたいでち」

 なるほど。魔法陣を作成する時に魔力を使うだけであって、今はその魔法陣に込めた魔力が使われて水が出ていると。しかも、ディーネ自身にも理由はわからないけど、込めた魔力以上の水が出てくるのか。

 つまり、精霊に力を使ってもらうなら、魔法陣にした方が魔力の変換効率が良いってことだけど……それにしても、未だに水が出続けているんだが、ディーネは一体どれだけの魔力を込めたんだ?

 今のところ気分が悪くなったりはしていないのだが、俺の魔力が結構多いということだろうか。

 そんなことを考えながら、階段を滝のように流れる水を眺めていると、

「パパー。なにかあるでちー!」

 背後からディーネに呼ばれた。

 横穴へ上がるのに必死で気付いていなかったけど、すぐ傍に盾が二つ置かれていた。

 木で出来た円形の盾で、どうやら縁が鉄のような金属で補強されているようだ。

「……って、金属!? 見つけたっ! ディーネ、やったよ! 金属だ!」

「よかったでち! さっそく、きんのせいれいをよぶでち」

「わかった。金の精霊よ、来て!」