「あっ! パパー! あながあいたでちー!」

「穴というより、隠し扉だったのかも。地下へと続く階段があるね」

 ディーネが滝のように落下する水を止めると、綺麗な正方形の穴が現れた。

 その下は階段になっており、割れた石がいくつか落ちているので、おそらく先程のディーネが出した水が蓋を破壊したのだろう。

「どうしようか。行ってみる?」

「んー、このおくから、へんなかんじはするでち。でも、なにかは、わからないでち」

 ディーネの言う変な感じというのがわからないまま来たけど、おそらく過去に誰かが調査した時にも、見つかっていない場所なのだろう。

 とりあえず、光が届く所までは進んでみようと、階段を下りてみる。

 大人が三人程並べる幅の階段を下りて行くと、その途中で目の前に……空中に半透明のパネルのような物が浮かんでいて、文字が書かれていた。

「ん? ≪もしも、二足歩行の者が触れたら、電撃≫……って、何だ?」

「これは……まほーじんでちね」

「魔法陣!?」

「そうでち。せいれいせきをつかって、つくるらしいでち」

 ディーネから詳しく話を聞くと、精霊の力を封じた精霊石というものがあるらしく、その石の力を発動させるための条件を書いたのが魔法陣らしい。

 よくみると、同じようなパネルが三枚程あり、そちらには電撃の代わりに麻痺や毒と書かれている。

 しゃがめば触れずに進めるので、あまり意味が無いような気もするが。

「なぜか三枚とも、書き方が同じだね。魔法陣の書き方のルールとかがあるのかな?」

「そこまではわからないでち。まほーじんは、にんげんとかエルフとかが、せいれいのちからをつかうために、つくりだしたものでち」

 おぉ。さすがは異世界だな。精霊がいるだけあって、エルフもいるのか。

 けど、精霊の力を使うために作り出された物ってことは……もしかして、この文字ってプログラムでいうソースコードみたいな物だったりするのか?

「ディーネ。これって俺にも作れたりするのかな?」

「んー、にんげんぞくだと、つくるためにスキルがいるらしいでち」

「俺に、魔法陣を作るスキルはあるのかな?」

「わからないけど、やってみればよいでち。ディーネがいるから、みずにかんすることなら、せいれいせきはいらないでち」

 なるほど。そもそも精霊のディーネが協力してくれているのだから、精霊石は不要ってことか。

 とりあえず、この半透明のパネルみたいな物は作り方がわからないので、階段に指で同じ様に書いてみた。


≪もしも、二足歩行の者が触れたら、少し水が出る≫


「こんな感じでどうかな?」

「じゃあ、ディーネがちからをこめるでち。……あ、カイのまりょくをもらうでちね」