リアがその葉っぱを何枚かちぎり、俺の手に。
「リア、これは?」
「冬緑草っていうんだけど、一言で表すと薬草なの。もしも怪我をしたら、この葉っぱを絞って、傷口に塗って」
「わかったよ。ありがとう」
薬草とかが出て来ると、ますますRPGっぽくなってきた。
この薬草を調合したら、ポーションとかになるのだろうか。
ズボンにポケットが無いので、リアに大きな葉っぱで包んでもらい、ひとまずベルト代わりの紐に巻き付けておいた。
「リア。ディーネもいっしょだから、だいじょーぶでち!」
「ディーネは来られるの!?」
「はいでち! なにかに、おみずをいれてくれれば、いけるでち!」
これも、リアが説明してくれた精霊の在り方の違いらしく、あの木から離れられないリアに対して、ディーネは俺から離れられないらしい。
なので、俺が移動する所には、常にディーネがついて来てくれるのだとか。
「でも、おみずがないと、ディーネがきえちゃうかもしれないでち」
「わかった! 絶対に水は零さないようにするよ」
リアに容器になりそうな植物をお願いしたところ、竹筒に似た物をだしてくれたので、ディーネに水を注いでもらった。
「カイ君。くれぐれも気を付けてね。そして、ディーネちゃん。カイ君をお願いね」
「うん。絶対に戻って来るよ」
「まかせるでちー!」
リアに見送られながら、ふよふよと宙に浮くディーネと共に遺跡へ向かって出発し、しばらく歩いたところで、今更だけど気になったことを聞いてみる。
「ディーネ。出発前に聞いておくべきだったけど、目指している遺跡って、どれくらい離れているの?」
「んー、すぐでちよ? そんなに、とおくないでち」
「そうなの? だけど見渡す限り地平線ばかりで、それらしき物が見当たらないよ?」
ディーネは遠くないというけど、周囲を見渡してみても、後ろにリアが宿る木が見えるくらいで、それ以外には所々で草が生えているくらいだ。
遺跡っていうくらいだから、何かしら建物の跡とかが見えても良さそうな気がするんだけど。
「もう、みえてきたでち。あそこでち」
「えっ!? どこ? 何も……あっ! あれのこと!?」
ディーネの視線の先には、広い穴というか、学校のグラウンドくらいの広さの窪みがある。
「なるほど。地下に遺跡があったんだ。これは、遠くからでは見つけられないわけだね」
「ディーネ、すごいでち?」
「うん、すごいよ。ありがとう。でも、どうしてディーネはここに遺跡があるって知っていたの?」
「みずのせいれいは、すがたをあらわしていないだけで、そのへんにいるでち。なので、おはなしできるでち」