声が出せず、何も見えない状態で、ひとまずリアの身体をペチペチ叩いて放してもらおうと試みる。

 だけど、リアが俺の手に気付いておらず、離してくれない。

「みんな。カイちゃんが苦しそうだから、放してあげて」

 本当にヤバいと思ったところで、ノエルが助け舟を出してくれて、ようやく脱出出来た。

「の、ノエル……ありがとう」

 フラフラになりながらも、ノエルに礼を言うと……ぎゅっと抱きしめられた!?

「ふふっ。みんな……カイちゃんと結婚したければ、ママの眼鏡に適うことね」

 リアから解放されたかと思うと、ノエルが謎の母親ごっこを始め……いや、みんなマジで何をしているのさ!

 どうやらノエルは俺をからかおうとしているだけみたいだけど、リアとメルは若干目がマジなので、ちょっと怖いんだが。

 ノエルの腕の中から脱出後、二人の気迫に気おされて後ずさりすると……

「きゃぁっ!」

 背後にいたラヴィに気付かず、一緒に倒れてしまった。

「ラヴィ、ごめん。怪我はない……ぃっ!?」

 ラヴィの上に倒れてしまい、慌てて身体を起こそうと手をだしたら、その……偶然手がラヴィの胸に触れてしまっていた。

「い、いや、別にえぇんよ? その、カイ先生はウチの将来の旦那様やし」

 ラヴィが顔を赤らめながら、俺を見つめてくる。

「あぁぁぁっ! カイ君っ! なにしてるのぉぉぉっ!」

「お兄さんっ! メルたんも! メルたんもーっ!」

「あらあら。カイちゃん。ママの方が大きいわよ?」

 その直後に、リアたちが俺を取り囲み……いや、事故だっ! 今のは事故なんだっ!

 リアの一件が収まったので、今度こそのんびりスローライフが送れると思ったのに!

 残念ながら、騒がしい日々を過ごすことになってしまった。